テルモ、オリンパスに対し今度は損害賠償請求 その思惑は?
2012/08/02 訴訟対応, 民事訴訟法, メーカー

概要
オリンパスは1日付けのプレスリリースで、同社の株価が粉飾決算により急落し損失を被ったとして、テルモから損害賠償訴訟の提起を受けたことを発表した。請求額は約66億円とそれに伴う遅延損害金であるが、本件が同社の業績に与える影響は現段階では算定が困難であるため不明であるとしている。また、本訴訟はテルモが第三者割当の形態で同社株式を取得したことによるものであり、本件以外に同じ根拠規定に基づく訴訟が提起される可能性がないことも付言している。
オリンパスとテルモといえば想起されるのが先月末にテルモ側より公表された経営統合提案の存在であるが、テルモは今回の訴訟に至った経緯について、あくまでもガバナンスの観点からのやむを得ないものであることを強調(下記プレスリリース参照)。8月上旬の権利行使期限が迫ってきたことに伴い、「上場企業として株主への責任を全うする」為に提起したものである、としている。
コメント
テルモはこのように本件訴訟提起と経営統合提案との関連性を否定しているが、それが真実かどうかは慎重な見方が必要である。ソニーと富士フィルムの一騎打ちの様相を呈していたオリンパスの経営統合先争奪戦が大きく様相を変化させたのは、先月26日のこと。テルモが提示した共同持株会社方式の資本提携案は会社としての独立性維持を志向するオリンパスにとって魅力的であったし、従来より資本提携関係にあった同業者たるテルモとの経営統合による医療機器業界での競争力強化…という理由付けは、非常に説得力に富むものであった。
もっとも、この争いは現段階でソニーが圧倒的有利な状況にある。そうした中でテルモが「提案の発表」という異例の事態に出た背景には、ステークホルダーに訴えかけることで事態を有利に進めようという意図も垣間見える(裏を返せば、それだけテルモが苦しい戦いを強いられているともいえる)。
そんな中で為されたテルモの動き。テルモが本件訴訟に勝利でもすれば、他のハゲタカファンドがどのような動きを見せるかは想像に難くなく、オリンパスにとっての不安要素が増えたことだけは間違いない。ともあれ、今後の動きを注意深く見守る必要がある。
【関連リンク】
関連コンテンツ
新着情報

- 解説動画
加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間

- ニュース
- ジェットスターCAの勤務中、休憩時間確保されず 会社に賠償命令2025.4.25
- 格安航空会社、ジェットスター・ジャパン株式会社の客室乗務員ら35人が、労働基準法に定められた休...
- 弁護士
- 髙瀬 政徳弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階

- 解説動画
浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間

- 業務効率化
- 鈴与の契約書管理 公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 目瀬 健太弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- セミナー
熊谷 直弥 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/第一東京弁護士会所属)
- 【オンライン】2025年春・Web3/暗号資産の法令改正動向まとめ
- 終了
- 2025/04/23
- 12:00~13:00

- 業務効率化
- 法務の業務効率化

- まとめ
- 中国「データ越境移転促進・規範化規定」解説2024.4.23
- 中国の現行法令上, 香港・マカオ・台湾を除く中国本土内(「境内」)から境外への個人情報等の移転...