買いだめ問題に終止符を! 「買いだめ許さんぞ法」発動!?
2011/03/18 消費者取引関連法務, 民法・商法, その他

買いだめ許さんぞ法
東日本巨大地震で、ガソリンや食料などの買いだめの動きが増している。消費者庁の発表によると、「品薄というわけではなく、震災前よりも供給は増えているが(飲料水は2.5倍)、需要が異常に急増(30倍)している」そうだ。
国として、買いだめを行う者を何らかの強制力をもって規制したいところだが、「財産権の侵害」との関連から、積極的な規制が出来ないのが現実である。本来、国民が自由に物を売り買いすることは、憲法上認められた権利だからである。
しかし、買いだめを許さないことを目的とした法律があることを皆様はご存じだろうか。「生活関連物資の買い占め・売り惜しみ防止法」が、それである。
※生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律※
本法は、1973年秋以降の異常な物価高騰及びこれに続く第一次オイルショックの際に、生活関連物資の価格の安定を図るために制定された法律である。この法律は、生活関連物資等のうち特定の物資を指定して、必要な場合に、政府の定めた売渡先にそれらの物資を売り渡すよう命じることが出来るとしており、
当時は、大豆、丸太、製材、綿糸、医療用ガーゼ、羊毛、生糸、絹織物、灯油、ティッシュペーパー、ちり紙、トイレットペーパー、ガソリン、合成洗剤、しょう油等を指定生活関連物資としていた。
違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処せられる。
雑感
上記の法律は、いまだに有効な法律ではあるのだが、実際に発動されたことはないそうだ。やはり、上述した「財産権の侵害」との関連から、その運用には慎重を期しているのかもしれない。
また、上記の法律の規制対象は、購入者側である一般国民ではなく、売手側である物資の生産者や輸入者、販売事業者である。つまり、今回のような、購入者の異常購買は、規制の対象外となる。
枝野官房長官は、今回の買いだめ騒動について、17日の記者会見で「強制的な対応も検討している」と強権発動を匂わせてはいたが、現実問題として、最終的には、購入者側の意識の改革を促すより、解決策はないものと考えられる。国が本当の危機に面した時には、法律ではなく、国民の道徳に頼るより他ないということだろうか。
この国が、この国の国民が、法律に頼ることなく、この危機を乗り越えるところを私は見てみたい。
頑張ろうニッポン。
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