入社後のミスマッチを防ぐ逆質問 “10選”(前編)

 
 

こんにちは。法務・ハイクラス専門キャリアアドバイザーの潮崎です。

日々、皆さまの転職相談に乗っておりますと、「入社前に想像していた状況と異なっていた」というご理由で再度の転職を決意される方にしばしば出会います。

今回は、普段、転職相談で耳にする「入社後のミスマッチ事例」を元に、法務パーソンにお薦めの逆質問をご紹介します。

 

 

転職をする際に一番怖いのが、「入社後になってミスマッチがわかること」だと思います。

多くの転職者が、前職または他の内定先との比較の結果、転職を決断されますが、その時の判断の前提が崩れてしまうと、

「やはり、転職をすべきでなかった」
「別の企業の内定を受諾すべきだった」

といった後悔に繋がりがちです。

 

こうしたミスマッチを予防するためには、基本的に、内定受諾前に情報収集するより他ありません。もっとも、多くはインターネット上にはない情報になりますので、

・面接時に逆質問として尋ねる
・選考の過程で転職エージェントを通じて質問する

といった対応が必要になります。

 

1.法務パーソンが直面しやすいミスマッチ事例

では、法務パーソンが入社後に直面しやすいミスマッチ事例にはどのようなものがあるのでしょうか。

ミスマッチのバリエーションを挙げていくと本当に様々ですが、例えば、(1)社風・(2)事業部門との関係性・(3)業務量といった観点では、以下が挙げられます。

 

(1)経営陣・現場担当者その他、社内のコンプライアンス意識が非常に低かった
 ・違法行為、モラルに反する行為の横行
 ・法務部門のプレゼンスが低く、現場への助言が軽視される
 ・事業部門が法務を含む管理部門を下に見ている

 

(2)事業部門の風土が過度に体育会系でコミュニケーションが取りづらい
 ・根性論、精神論がまかり通る風土
 ・上下関係に厳格で、それを法務部門にも求めて来る

 

(3)入社前に想像していた以上に業務量が多い
 ・実は退職予定者の穴埋めとしての採用だった(人員減の分、負担増)
 ・会議ばかりで実務に手を動かす時間が取れず、残業続き
 ・リーガルテックツール等の導入が進んでいない
 ・他部門からの依頼フローが整備されていない

 
 

2.ミスマッチを予防するためにお薦めの逆質問

■社内のコンプライアンス意識の確認

質問①:「社内において、現在、コンプライアンス面で特に力を入れているテーマはありますか?」

特に人事担当者に聞きたい質問です。この質問に対して明確な回答がある場合、社内のコンプライアンス意識が相応に高いと期待できます。逆に、曖昧な回答しかない場合には、社内での法務周りへの関心が低い可能性があります。

 

質問②:「経営層は主にどのようなタイミングで法務部門に助言を求めて来ますか?」

“新しい施策を検討するときには必ず”といった回答がある場合には、経営層のコンプライアンス意識の高さが期待できます。一方で、問題が生じた後等、事後的な相談がメインとなる場合には、ややアラートを働かせた方がよいと思います。

 

■事業部門との関係性の確認

質問③:「事業部門から法務部門はどのような評価を受けることが多いですか?」
質問④:「事業部門内で評価の高い法務パーソンの特徴を教えてください。」
質問⑤:「事業部門ではどのようなお人柄の方が多いですか?」

こうした質問を行う中で、事業部門と法務部門との関係性や事業部門の風土、事業部門が好む仕事ぶり・パーソナリティなどを探ることができます。一概には言えないですが、事業部門が“仕事の早さ”を法務に強く求める場合は、法務部門の位置づけが低く置かれているおそれがあります。

 

■業務量の確認

質問⑥:「今回の採用で、法務部門として新たに注力したい分野はありますか?」

この質問に明確な回答がある場合には、法務機能をアップグレードするための前向きな採用である可能性が高いです。逆に、曖昧な回答しかない場合には、「人が抜けるから、とりあえず穴埋めで採用する」といった募集背景の可能性があります。もし、そうであれば、入社後に一人抜ける前提で、ご自身の業務量を見積もる必要があります。

 

質問⑦:「他部門や経営層を交えての会議に同席する機会はどのくらいありますか?」

この質問は、法務部門がどのくらい他部門等から頼られているかを探ると共に、日々の業務のうち、どのくらいの時間が会議に費やされるかを見積もる意図での質問になります。

 

質問⑧:「他部門からの相談や依頼は、どのような連絡手段で来ますか?」
質問⑨:「法務部門では、現在どのようなリーガルテックツールを使用していますか?」
質問⑩:「法務業務の効率化という観点で会社として取り組まれていることは何かありますか?」

ワークフローがどのくらい整備されているか、法務業務の効率化が進んでいるか、今後の効率化の見通しはどのくらいあるか等を探るための質問になります。

 
 

3.終わりに

ここまで、(1)社風・(2)事業部門との関係性・(3)業務量のミスマッチを防ぐための質問例をご紹介して来ました。

逆質問全般に言えることですが、ぶしつけに質問してしまうと、「尋問されている」、「上から目線」といったネガティブな評価に繋がるリスクもあります。

いずれの質問を行うときも、

・相手を過度に警戒させないよう枕詞をつける
・どんな意図で質問しているのかが明確にわかるよう補足する

といった配慮が必要になります。

ぜひ、本記事をご参考に、効果的な情報収集を行ってみてください!

 

=================================

 
 
 
株式会社パソナ
法務・ハイクラス専門キャリアアドバイザー
潮崎明憲
大阪市立大学法学部卒、近畿大学法科大学院修了。法務・総務担当として入社した営業研修会社の事業を4年にわたって支えた後、2014年より、米国訴訟における日本企業支援(eディスカバリー)業務に従事。2016年からは、法務専門エージェンシー、株式会社More-Selectionsにてエージェントとして、1000社超の企業の法務職採用に携わる。2021年9月、同社のパソナへの吸収合併を機に、株式会社パソナにて法務・ハイクラス専門のキャリアアドバイザーを務める。
 
 
 
 

<< キャリアページに戻る