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法務専門キャリアアドバイザーの潮崎です。 最近、採用の現場で、「ビジネス当事者意識の高い法務が欲しい」というフレーズを何度も耳にします。
法務も現場と協働してビジネスを作り上げる“当事者”なのだからという言い分です。
このフレーズを聞いて、決まって思い出すのが、法務の勉強会でお会いした某メーカーのマネージャーの方です。
それは、勉強会中、あるメンバーが、『事業部から“ビジネスへの当事者意識が低い”と文句を言われた』と、愚痴にも似た話題を向けたときのこと。
「たしかに、法務はもっとビジネス当事者意識を高めるべきだ」と肯定的な声、
「法務にそこまで求めるのは、あまりに過度だ」と否定的な声など、さまざまな声があがり、議論は意外なほど盛り上がりを見せました。
ちなみに、ここで言う“ビジネス当事者意識の高い法務” とは、おおむね、自社のビジネスの成否を自分の責任と捉え、ビジネス成功に向けて主体的に働きかけを行う法務パーソンを指します。
そんな中、件のマネージャーが、
『実際に意識を高められるかはともかく、ビジネス当事者意識を高そうに見せること自体は簡単ですよ』
と豪語しました。
そのマネージャーいわく、一般的に、当事者意識が芽生えにくくなる要因として、
(1)自分の役割がわかりにくい
(2)評価基準が不明瞭
(3)仕事量が多すぎて余裕がない
(4)保守的な組織風土
などが挙げられるといいます。
そして、法務においては、ビジネスへの当事者意識を持ちづらくする要因が多数重なっているそうです。
実際、法務の仕事がビジネスに与える影響は見えにくいですし、なにをもってビジネス上評価されるのかも不明瞭です。 (3)仕事量、(4)保守性の面でも当てはまる法務部門は少なくありません。
私も「なるほどな」と深くうなずきながらお話に聞き入っていました。そのうえで、
「実際に当事者意識を高められるかは人や環境によるけど、当事者意識が高いように見せることは十分可能だ」
というのです。
どういうことなのか?そのマネージャーいわく、当事者意識が高そうな人の大きな特徴は、“具体的なtodoリストが頭の中に描けていること”だといいます。
『この後、どんな工程が待っていて、各工程で誰が何をする必要があり、それがどのくらい大変なのか。』
それを意識して話すだけで、当事者意識が高いように装うことができると。
たしかに、自分で計画した旅行に行く際は、準備の段階で、何時にどこに何の乗り物で行き、そのために何が必要かなど、具体的で解像度の高いtodoリストが自然と頭の中にできあがりますが、誰かが計画した旅行について行くだけの場合には、おおざっぱなtodoリストしか思い描けません。
妻に家族旅行のプランニングをお願いしたときに、旅行当日、「当事者意識があまりに低い。まるでお客様感覚。」と叱られたことを思い出しました…。汗
件のマネージャーいわく、相談への回答や契約書の修正など、
(1)法務のアウトプットを受け取った後の事業部側の工程について、事前に情報収集して解像度の高いtodoリストを思い描いておくこと
(2)そうしたtodoリストが頭の中にあることを匂わせながらやり取りをすること
この二つを心掛けるだけで、「ビジネス当事者意識が高そうな法務」に見せられるとのこと。
さらに言うと、仮に、解像度の高いtodoリストが思い描けていない場合でも、“事業部側の後工程に関心を示す質問”をいくつか投げかけるだけで、当事者意識が高い法務を装えるといいます。
私はマネージャーの話に納得すると共に、「ビジネス当事者意識を持って欲しい」という事業部側の要求は、つまるところ、
「自分たち事業部の大変さを理解し配慮して欲しい」
という心情的な部分から来るところが大きいのかなとも感じました。
法務部門も事業部門も、お互いに、相手のtodoリストに思いを馳せて、配慮し合いながら仕事ができるといいですね。
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株式会社パソナ 法務・ハイクラス専門キャリアアドバイザー 潮崎明憲 大阪市立大学法学部卒、近畿大学法科大学院修了。法務・総務担当として入社した営業研修会社の事業を4年にわたって支えた後、2014年より、米国訴訟における日本企業支援(eディスカバリー)業務に従事。2016年からは、法務専門エージェンシー、株式会社More-Selectionsにてエージェントとして、1000社超の企業の法務職採用に携わる。2021年9月、同社のパソナへの吸収合併を機に、株式会社パソナにて法務・ハイクラス専門のキャリアアドバイザーを務める。 |
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