反社チェックのススメ

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はじめに

 近年日本では反社会的勢力(反社)撲滅への動きが強化されております。政府や自治体も法整備や条例制定を進めており、万一反社との関係が発覚した場合には企業にも相当な損失が予想されます。今回はこのようなリスクを減らすべく反社チェックについて見ていきます。

反社会的勢力とは

 一般的に「反社会的勢力」「反社」と聞くと暴力団組織を思い浮かべるものと思われます。しかし法務省のガイドラインによりますと、反社会的勢力とは「暴力、威力と詐欺的手法を駆使して経済的利益を追求する集団又は個人」とされております。また政府閣僚会議で出された指針では「総会屋、社会運動標ぼうゴロ、政治活動標ぼうゴロ、特殊知能暴力集団等」としております。つまりいわゆる暴力団と呼ばれる集団だけでなく、犯罪的な手法によって利益を上げる集団、特殊詐欺グループ、過激な政治団体や総会屋など公序良俗に反するあらゆる組織または個人が該当しうるということです。

反社に関する規制等

 現在各都道府県では独自の暴力団排除条例が設けられております。「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」いわゆる暴対法は暴力団自体を直接規制するものと言えます。一方暴排条例は暴力団等との関係を防止することを目的としています。具体的には暴力団等への利益供与の禁止、契約相手が暴力団等と関係が無いかの確認義務、暴排条項を設ける努力義務などが定められております。違反した場合には罰則や行政処分を受ける場合もあります。また金融庁でも監督指針で金融機関に同様の暴排対策を求めております。

【参考記事】
主要行等向けの総合的な監督指針 令和2年4月/III -3-1-4 反社会的勢力による被害の防止(金融庁HPより)

反社チェックの必要性

 このように近年反社勢力への規制が強化されております。それを受け反社勢力側は地下に潜っていく傾向が強まったと言われております。その活動もより巧妙になり一般の企業と見分けが困難になってきております。知らず知らずのうちに反社勢力と取引していたという例も少なく有りません。また、万が一そのような事態に陥った場合でも企業として取引相手の調査を尽くしていた場合には罰則や行政処分を免れる可能性も高いと言えます。そこでできる限りの反社チェックの必要性が高まってきております。

【参考記事】
どこまでが対象!?反社チェックの方法と限界(株式会社Japan PI HPより)

反社チェックの具体的方法

(1)自社で行う場合
 反社チェックの方法としてまず考えられるのは自社で独自に調査を行うことです。まず取引先、関係先をリストアップしWEBサイトや検索エンジン等で検索することは反社だけでなくあらゆる場合で利用されます。同時に逮捕、送検、容疑、処分、提訴、暴力団など反社勢力と関連のあるキーワードを含めて検索することも有用と言われております。SNSやブログなどからも情報は得られます。またデータベース化された新聞記事の検索サービスも利用できます。これらインターネットによる調査以外では商業登記や不動産登記からも情報は得られます。商業登記では本店所在地や役員の氏名、組織再編の履歴などがわかります。不動産登記では抵当権者や差押、仮差押、仮処分などが行われた履歴を見ることができます。訴訟記録や官報からも破産の事実や決算公告、帰化情報などを調べることが可能です。

(2)行政機関への照会
 各都道府県では暴力団追放運動センターが設置されており、暴力団排除への啓蒙活動や相談を受け付けております。会員になると反社勢力のリストの提供を受けられたり、反社であるかの判断をしてもらえる場合もあります。また警視庁では暴力団排除活動に取り組んでいる事業者に対し可能な限り暴力団関係者かどうかの情報を提供するとしています。

(3)調査会社への依頼
 信用調査や素性調査などを専門に行っている調査業者に依頼することも考えられます。これらの業者のなかには反社チェックを専門に行っている業者もあり独自のノウハウで精度の高い調査が可能です。自社調査よりもコストがかかることとなりますが、自社では調べきれない場合などは有用と言えます。

【参考記事】
公開情報による反社チェック方法(株式会社Japan PI HPより)
反社チェックの実務 —契約前に行うべき反社チェックの具体的方法(サインのリーデザインより)

コメント

 近年反社勢力撲滅の機運が高まっており政府や自治体は法令整備を進めております。それに伴い企業にも対応が求められており、上記のように違反した場合には罰則や行政処分のリスクがあります。また政治家や芸能人のスキャンダルとして世間を賑わせているように、反社勢力との関係が発覚した場合は企業イメージの低下は避けられず事業への影響は相当なものとなります。反社チェックはコンプライアンスやコーポレートガバナンス上も必須事項となりつつあります。反社チェックのマニュアル化やチェックを専門とする担当者の専任なども有用と言えます。普段から反社勢力との関係の危険性を社内で周知していくことが重要と言えるでしょう。

 
[著者情報] mhayashi

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2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。
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