フィリップモリスに措置命令、事例から見る有利誤認表示

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はじめに

 消費者庁は21日、加熱式タバコ「アイコス」の広告に虚偽があったとして景表法違反によりフィリップモリスジャパンに措置命令を出していたことがわかりました。割引が期間限定であるように表示していたとのことです。今回は景表法が規制する有利誤認表示を事例で見ていきます。

事案の概要

 報道などによりますと、フィリップモリスジャパンは2015年9月~2018年5月にコンビニの店頭に設置されたアイコスの立体広告で期間限定とした上で「今なら会員登録すれば◯◯円OFF」などと表示していました。しかし実際には期間が過ぎた後も同様の期間限定キャンペーンを継続していたとされます。消費者庁は有利誤認表示に当たるとして再発防止を命じる措置命令を出しました。

有利誤認表示とは

 景表法5条2号によりますと、価格その他の取引条件について、実際よりも著しく有利であると一般消費者に誤認させる表示を行い、消費者の合理的選択を阻害するおそれを生じさせることは有利誤認表示として禁止されております。つまり実際よりも「お得」と誤解させる表示などが該当します。違反した場合には差し止めや再発防止などの措置命令が出される他(7条)、課徴金納付命令が出される可能性もあります(8条)。以下実際に問題となった有利誤認表示の事例を見ていきます。

有利誤認表示の事例集

(1)おせち料理のHP上での広告で「通常価格」21,000円を50%OFFとして10,500円で販売していた事例で、実際には「通常価格」は存在せず架空の価格であったものです(平成23年2月22日措置命令)。
(2)スーパーのチラシで販売価格に「当店価格」と称する価格を併記して実際よりも安いように表示していたところ、「当店価格」と称される価格は架空の価格であったものです(平成23年2月4日措置命令)。
(3)TVCMやチラシで「毎月29日は肉の日!!」「牛肉が当日表示価格より半額」としていたところ、該当日の表示価格は通常時よりも価格が上げられており、実際には通常の半額ではなかったというものです(平成26年7月24日措置命令)。
(4)TVCMやチラシで「スーツ、コート、ジャケット全品半額」と表示されていたところ、実際には一定金額以上のスーツ、コート、ジャケットのみが半額となっていたとされます(平成23年7月26日措置命令)。
(5)振袖のレンタルカタログで写真とともに「レンタルセット価格178,000円」とし、当該価格で写真のようにレンタルできるかのように表示していたところ、実際にはそれ以外にも相当額の費用が必要となるものでした(平成25年2月8日措置命令)。
(6)雑誌の懸賞企画で「iPocShuffle+iTunesカード3000円分 3名様」と3人に当選すると表示していたところ実際には1人にしか当選させていなかったとされます(平成27年3月13日措置命令)。
(7)通信講座のウェブ広告で「期間限定6月1日~6月30日まで1万円割引」などと表示していたところ、実際にはほとんどの期間で1万円割引となっていたとされます(平成27年3月20日措置命令)。

コメント

 本件でフィリップモリスは期間限定として「今なら会員登録すれば◯◯円OFF」と表示していましたが、実際にはその後も同様のキャンペーンを継続しておりました。消費者庁は取引を急がせ、あおるような表示により消費者の自主的な選択に影響を与えたとしています。以上見てきたように有利誤認に該当する事例は多種多様で、本件のように実際には常時適用されている割引を今だけのように表示する例は典型例の一つと言えます。またチラシやウェブ広告で行われる二重価格表示もよく見られる例と言えます。実際にはそのような価格で販売したことが無い場合や、短期間だけしか販売したことがない価格を比較表示する場合や、メーカーが公表していない価格を希望小売価格として比較表示することも有利誤認になるおそれがあります。キャンペーンやチラシ、TV広告を打つ際にはこれらの点に留意して有利誤認表示とならないよう周知していくことが重要と言えるでしょう。

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[著者情報] mhayashi

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