民法債権法の改正のポイントと改正時期

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1 概要

 民法の債権法の改正は、企業法務の担当者にとって大きな話題だ。120年ぶりの大改正と言われ、法務省案では従来からの判例を条文化した点に加え、実質的な内容変更がある。そこで、今回は、企業法務実務への影響という観点から押さえるべき実質的な改正のポイントと、気になる改正作業の最新状況についてお伝えする。

2 ここが変わる改正のポイント

 法務省案を見る限り、次の点などに注意が必要だ。
① 債権の消滅時効の起点や期間について、「権利を行使できる時から10年間」に加えて、新たに「権利を行使できることを知った時から5年間」も加わり、消滅時効が早まった。また、小売店の売掛代金などで適用されていた短期消滅時効が廃止され、上記の一般債権と同じ消滅時効が適用される。
② 企業が一般消費者等と定型的な取引をする際に使う約款について、この約款に契約としての拘束力が認められた。また、約款の内容を変更する場合、変更に合理性があれば消費者等の相手方の個別の同意が不要となった。ただし、約款の内容について、社会通念に照らして消費者等を一方的に害すると認められた場合、契約の拘束力はない。
③ 事業のための借入れの際に個人が保証人となる場合、保証人が事前に公正証書を作成して保証する意思を表示しないと、保証は無効となる。また、借入れをする主債務者は自らの財産状況を保証人に情報提供しなければならず、事実と異なる情報提供があった場合、保証契約を取り消せる場合がある。
④ 債権者代位権を行使した場合でも、債務者は第三債務者に対し債権を行使し弁済を受領することができるようになる。そのため、債権者は、債権者代位権を行使して債権回収を万全にするには、事前に仮差押え等をしておく必要が出てきた。
⑤ 契約書で利率を定めない場合に適用される法定利率が5%から3%に変更になること、賃貸した場合の敷金は原則返還すべきことが明文化されること等、他にも企業法務に影響があるポイントは多い。

3 改正スケジュールの最新状況といつから施行・適用される?(2016年1月15日現在)

 このように、企業法務にも影響のある改正となっており、改正の見通しと施行適用の時期が気になるところだ。
民法の改正案は、2015年3月31日に国会に提出された。しかし、安保関連法などの審議が優先されため、今国会(190回国会)に継続審議となった。2016年1月15日現在、衆議院一部議案課閣法係によれば、具体的審議は開始されておらず、今後の開始されるかについても見通しがない状況だ。今国会で成立するかは不透明という状況だ。
 法律の改正は国会で成立した後、一定の猶予期間を経て施行される。この施行日以降の取引について、改正後の民法が適用されるのが原則だ。では、国会で成立した場合、改正後の民法はいつから施行されるか?この点、法務省民事局参事官室によれば、改正法が国会で成立してから2~3年後をメドに施行したいという。したがって、今年6月1日まで今国会で成立すれば、2019年ごろの施行ということになりそうだ。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約2年4ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
 
[著者情報] penpen

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■石井 大輔
略歴:
静岡県三島市出身
静岡県立沼津東高校普通科卒業
2011年 同志社大学法学部法律学科早期卒業
2014年 名古屋大学法科大学院未修コース修了
2015年 弁護士登録(68期愛知県弁護士会)
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