【インド】日系企業に公正取引妨害で課徴金

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事案の概要

インドの公正取引委員会に当たる「インド競争委員会」が、日系企業を含む14社の自動車メーカーに対し市場での自動車部品の公正な取引を妨害したとして総額254億ルビー(約432億円)の課徴金を科したことが、8月26日明らかとなった。

課徴金の対象となった日系企業は、スズキ子会社のマルチ・スズキ(課徴金は47億ルビー〔約80億円〕)、ホンダ(同7億8千万ルビー〔約13億円〕)、トヨタ自動車(同9億3千万ルビー〔約16億円〕)、日産自動車(同1千万ルビー〔約2千万円〕)の計4社である。他にも、インド最大手のタタ自動車、印マヒンドラ&マヒンドラ、独フォルクスワーゲン、米ゼネラル・モーターズも対象になっており、インドで事業展開しているほとんどの乗用車メーカーが対象になったといえる。

同委員会によると、各社は傘下にいない自動車部品販売業者に車の修理用の部品を供給していない。これが自由な競争を妨げ、部品価格を引き上げており、自動車修理市場の公正な競争を妨げたとしている。

各社は高額の課徴金に反発する可能性が高く、インド政府と自動車業界との間で摩擦が生じる可能性がある。

コメント

インドでは、関連事業において支配的地位にある事業者による支配的地位の濫用を禁止している。具体的には不公正な取引価格を課すこと、商品開発について科学的技術的な制限を課すこと、市場参入の拒絶につながるような取引行為をすること、契約内容と無関係な付随的義務を課すこと、他の市場に参入する上で支配的地位を利用すること、などが挙げられる。今回は、各社が自社系列の部品販売業者しか利用していない点が、支配的地位の濫用に当たるとされたといえる。

支配的地位の濫用については、日本の独占禁止法においても禁止されている。そのため、日本でも同様の事件が起きる可能性がないとはいえない。一方で、メーカーが傘下の会社に部品等の製造販売を委託する例は多いといえる。ただ、外形が通常の取引行為であることから直ちに違法と判断されることはなく、その行為が公正な競争を阻害するおそれがあるときに違法とされため、違法性の判断は難しい。企業としては、自社の活動が自由競争を害し違法と判断されるおそれがないか、改めて検討する必要があるといえる。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約5年6ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
 
[著者情報] nakagawa

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