新光商事で株主総会決議議案の一部無効、定款記載事項について
2021/08/20 商事法務, 会社法, その他

はじめに
半導体商社「新光商事」は16日、6月に開催された定時株主総会で可決された議案の一部が無効であった旨発表しました。定款に記載する公告方法の文言に不備があったとのことです。
今回は会社法が定める定款記載事項について見ていきます。
事案の概要
報道などによりますと、同社の定時総会で上程された議案の内、第2号議案の定款一部変更の件で
「第5条 当会社の公告は日本経済新聞に掲載する。」との現行定款から
「第5条当会社の公告方法は、電子公告とする。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、日本経済新聞または官報に掲載する方法により行う。」に変更する案が可決されました。
しかし法務局は本件変更案には不備があると指摘したとのことです。同社では来年の定時株主総会で改めて公告方法の変更案を上程する予定としております。
定款記載事項
定款には絶対的記載事項、相対的記載事項、さらに任意的記載事項が存在します。
絶対的記載事項とは定款に必ず記載しなければならない事項で、その記載が欠けていた場合、定款全体が無効となってしまう記載事項を言います。絶対的記載事項は、目的、商号、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額またはその最低額、発起人の氏名または名称および住所、発行可能株式総数となっております(会社法27条)。
相対的記載事項とは定款に記載しなくても定款自体は有効ですが、定款に定めておかないと効力が認められないものを言います。相対的記載事項は多岐にわたり、株式譲渡制限、取締役の任期伸長、基準日、剰余金配当の定め、公告方法などが主な記載事項となります。
それ以外にも公序に反しない限りあらゆる事項を定款に盛り込むことが可能です。これを任意的記載事項と言います。
公告方法の定め
会社の公告方法は定款の相対的記載事項となっており、定款で定めることもできますが、定めなかった場合は自動的に「官報」となります(939条4項)。
そして公告方法は登記事項となっていることから定款に定めなかった場合でも必ず登記することとなります(911条3項)。
公告方法は官報、日刊新聞、電子公告の3種類があり、そのうちの1つを選択することが一般的ですが、官報と日刊新聞というように複数を定めることも可能です。さらに日経新聞が休刊のときは読売新聞に掲載するといった定め方や、東京都で発行される日経新聞といった発行地の限定も可能です。
また電子公告の場合には、サーバーのトラブルや停電などの備えて予備的に官報か日刊新聞を定めることができます。
一方、「官報または日経新聞に掲載する」といった定めや「東京都内の日刊新聞に掲載する」といった特定されていない定め方は無効となります。株主や投資家からすればどれをチェックしておけば良いかわからなくなるためです。
公告方法変更手続き
公告方法は定款記載事項であることから、その変更には定款変更として株主総会の特別決議が必要となります。
そして登記事項でもあることから変更した旨の登記申請も必要となります。電子公告を選択した場合にはホームページアドレスも記載します。
申請の際には株主総会議事録と株主リストを添付することとなります。株主リストとは株主総会決議を要する場合に付ける書面で、株主の氏名や住所、持ち株数、議決権数、議決権割合などを記載し、決議要件を満たしているか確認できるものを言います。登録免許税は1回3万円となっております。
コメント
本件で新光商事が可決した公告方法の変更案では電子公告の代替的手段として「日本経済新聞または官報に掲載する」となっておりました。上記のようにAまたはBのいずれかに掲載するといった選択的な定め方は、見る側からすればどちらか特定できないことから無効とされております。
次回の定時総会では日本経済新聞か官報のいずれか特定した議案が上程されるものと考えられます。以上のように会社の公告方法は官報、日刊紙分、電子公告と3種類が用意されております。官報は低コスト、日刊新聞はコストはかかるものの株主に馴染みやすく、電子公告は更新が素早いといった特徴があります。それぞれのメリット・デメリットや手続きを把握した上で、自社にもっとも適した公告方法を選択していくことが重要と言えるでしょう。
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