職場でのうつ病に新たな対策 メンタルヘルス法務主任者資格講座開始
2013/04/10 労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要
今月5日、一般社団法人「産業保健法務研究研修センター」(以下、「産保法研」)は、メンタルヘルス法務主任者資格講座を開始した。
産保法研は、産業保健法務に関する調査研究・人材の育成・企業や個人への支援を目的として昨年11月に設立された。企業においてうつ病等のメンタルヘルス不調者が増加している現状を受け、個人と組織の成長・適応を支援する事を活動内容とする。医師、弁護士、学者、企業経営者等、メンタルヘルス・保健と企業法務、各分野の専門家が参加している。
メンタルヘルス法務主任者資格講座は、産保法研が重要な活動として位置付ける民間資格取得用の講座。合計48時間の受講と資格認定試験から成る。労働関連法規と精神疾患に関する知識を学び、それを実際の事例に当てはめられるようにする。
これまで、企業におけるメンタルヘルス不調者への対応は、産業医やカウンセラーが担当してきた。しかし、彼らでは法的なサポートが難しい。一方、企業の法務・労務担当者はメンタルヘルスの知識に乏しい。本講座の狙いは、両方の分野に精通した人材の輩出にある。
資格取得のメリットとしては、メンタルヘルス不調者が生じたとき、早期に適正な解決法を導く能力を得られる事、専門家とのネットワークを構築出来る事、産保法研によるアドバイスや専門機関の紹介といったアフターフォローを受けられる事等が挙げられている。
メンタルヘルス法務主任者に求められるのは、労働基準法や労働契約法等、労働者の権利に関する法規を用いてメンタルヘルス不調者個人に対する支援をする事にとどまらない。労働安全衛生法等、労働環境作りに関する法規からメンタルヘルス不調者が出ないような職場を構築し、労使間の信頼関係を増強する事や無用な訴訟を回避する事まで含むとされる。
コメント
うつ病に罹る人の数は増加の一途を辿っていると言われるが、独立行政法人「労働者健康福祉機構」の調査によれば、仕事に強い不安・ストレスを感じる人間が約6割も存在している。勤労者にとって、生活時間の面でも人間関係の面でも、仕事の占める割合は非常に大きい。うつ病の原因が職場にある事が多いのは或る意味で当然とも言える。その職場でメンタルヘルスのサポートを受けられ、更に労働環境の改善に繋がるとすれば、本資格創設のその意義は大きい。
一方で、メンタルの重要性が認識されてきた事に伴い、法改正が進んでいるとはいえ、労働関係法規のメンタルヘルスへの対応はまだ十分とは言えない。本資格取得者がその法をもって大きな成果を挙げられるか、という点には疑問が生じる。
本資格及び産保法研については、労働関係法規の変化と合わせ、期待をもって注目してゆきたい。
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