【厚労省】喫煙対策で助成金を充実
2013/05/20 労務法務, 労働法全般, その他
事案の概要
厚生労働省は、5月16日、職場における受動喫煙防止対策をより効果的に推進するために、助成金制度を改正した。
厚生労働省では、労働者の健康を確保するため、平成23年10月より、受動喫煙を防止するための助成金制度を開始していた。この制度は旅館業、料理店、飲食店を経営する中小企業事業主を対象に、職場での受動喫煙を防止するため、喫煙室の設置などを行う際に利用されてきた。
今回の改正では、適用対象を拡大すると共に、補助金率の引き上げを行った。
主な改正点は、以下の3点である。
1. 対象事業主をすべての業種の中小企業事業主に拡大
2. 補助率を費用の1/4から1/2に引き上げ (但し上限200万円まで)
3. 交付の対象を喫煙室の設置費用のみに限定 (従来は換気設備等の設置費用も対象であった)
コメント
企業は、労働者の生命・身体等の安全に配慮する義務を負っている(安全配慮義務。労働契約法5条)。また、企業は、労働者の受動喫煙を防止する措置を講じるよう努める義務があるとされる(健康増進法25条)。企業が安全配慮義務等を怠り、労働者に損害が生じた場合は、企業に損害賠償責任が生じる。
このように企業は、従業員の健康を守るため、喫煙対策を講じる必要がある。しかし、中小企業にとっては、設置費用が非常に大きな負担となる。
従来の補助金制度は、顧客が喫煙することを前提とする飲食業などに限定されていたが、今回の改正では労災保険法適用対象の全ての中小企業に拡大され、中小企業の負担は軽減されたといえよう。
関連判例
○ 受動喫煙に関して、使用者の責任を認めた事案として、
盛岡地判平成24年10月5日
東京地判平成16年7月12日 判例タイムズ1275号231頁
がある(但し、いずれも公務員の事案)。
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