高度専門職に対して労働時間規制を緩和~厚労省が提案~
2014/05/30 労務法務, 労働法全般, その他

事案の概要
厚生労働省は5月28日の産業競争力会議で、高度専門職について現在の労働時間規制の対象外とし、働いた時間に関係なく成果に応じて賃金を決める仕組みを提案した。
ここにいう高度専門職とは、為替ディーラーやファンドマネジャー等の成果に基づいて評価できる、世界レベルの人材とされている。
具体的な対象者、法的効果、要件等については今後労働政策審議会で検討されるとしている。
この高度専門職に対する新たな労働時間制度のもとでは、報酬は成果に基づいて支払われるため、残業代は給与に含まれることになり、休日手当や深夜手当を支払う義務は無くなる。
また、裁量労働制の適用範囲を現行の管理職だけでなく、企業の中核部門、研究開発部門等で働く管理職候補にも広げることも提案された。
裁量労働制は上記の高度専門職に適用される労働制とは違い、休日手当や深夜手当の支払義務は残るものである。
政府は裁量労働制の対象を広げることで、企業の競争力を強化し労働者の創造性や職業能力の向上を企図している。さらには業務遂行のための標準的な労働時間を労使で設定することにより、生産性を上げ、結果としてワークライフバランスにも資するような働き方を実現するとのことである。
具体的な人材としては、全社的なプロジェクトのリーダー等を想定しているとのことである。
もっとも企業の中核部門の中にあっても、顧客との関係等のために、一定の時間帯を設定して遂行される業務に従事する労働者や職務経験が浅い者は対象には含めない方針である。
コメント
いわゆる、ホワイトカラーエグゼンプションの導入については第一次安倍政権において「残業代ゼロ法案」と批判され見送られた過去があり、今回はその批判を緩和するためにかなり要件を限定した形で素案を提示したと考えられる。
労働規制緩和の対象となる高度専門職に関して、厚労省によれば数千万円以上の年収を想定しているとのことである。
しかしそのような人材はごく少数であり、大多数の国民には関係のない話である。これでは多様な働き方を求めるニーズを汲み取ることも困難であると考えられる。
だとすれば、野党や労組からの反発を招いてまで実現する必要性のある施策なのかは甚だ疑問である。
関連サイト
関連コンテンツ
新着情報

- ニュース
- オランダ - 大企業向け新たな財務諸表提出要件2025.6.20
- NEW
- オランダでは、2025年度の財務報告から適用される大企業向けの新たな要件が導入され、財務報告制...

- 業務効率化
- ContractS CLM公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号
- 弁護士
- 横田 真穂弁護士
- 弁護士法人咲くやこの花法律事務所
- 〒550-0011
大阪府大阪市西区阿波座1丁目6−1 JMFビル西本町01 9階

- 解説動画
岡 伸夫弁護士
- 【無料】監査等委員会設置会社への移行手続きの検討 (最近の法令・他社動向等を踏まえて)
- 終了
- 視聴時間57分

- セミナー
片岡 玄一 氏(株式会社KADOKAWA グループ内部統制局 法務部 部長)
藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
板谷 隆平(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【オンライン】CORE 8による法務部門の革新:企業法務の未来を創る!KADOKAWAに学ぶ プレイブック×AIで切り拓く業務変革
- NEW
- 2025/06/30
- 23:59~23:59

- 業務効率化
- Hubble公式資料ダウンロード

- まとめ
- 株主提案の手続きと対応 まとめ2024.4.10
- 今年もまもなく定時株主総会の季節がやってきます。多くの企業にとってこの定時株主総会を問題無く無...

- 解説動画
奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分