ホワイトカラー・エグゼンプション、日本でも導入の動き?
2014/05/23 労務法務, 労働法全般, その他
事案の概要
厚生労働省の労働時間規制の変更について
厚生労働省は、これまでの労働時間規制について時間規制を外す項目を設ける方針だ。
これまでの労働時間規制として、原則1日8時間、週40時間と定めた労働基準法による規制が挙げられる。この規制により、社員がこの規制時間を超えて働くと、企業は残業代を支払う必要がある。もっとも、労働時間の決定については、フレックスタイム制、みなし労働時間制等の、労働時間の規制が導入され、仕事をしながらも自らのライフスタイルに合わせた就労がなされることが目指されている。
その一環として、具体的に厚労省が提案したのは、これらの労働時間の規制になじまないと考えられる職種については、上記の項目にあたるとして、時間規制を外す方針である。具体的には、米国で始まったホワイトカラー・エグゼンプションに近い法制度を日本でも導入することである。
ホワイトカラー・エグゼンプションについて
収入が多い事務職、すなわち「ホワイトカラー」といわれる労働者の労働時間の規制について、その規制の適用を免除し、または例外を認めることで、労働時間の規制を緩和し、給与は時間ではなく成果に応じて決するとする制度である。
日本で既に導入済みの、フレックスタイム制、みなし労働時間制等の制度とは、成果ではなく、労働時間によって給与を決める点で異なっている。
コメント
日本では、上記のように、フレックスタイム制、みなし労働時間制を採用している。そして、フレックスタイム制によって、就業時間に柔軟性を持たせ、労働者の身体的負担を減らすなどの私生活上の利益を図ることや、みなし労働時間制によって、成果より労働時間に着目して給与を支払うことにより、労働者の利益保護を図ろうとすることで、労働者の生活を保護する方策が用意されている。
上記事案の動きは、ワーク・ライフ・バランスや労働生産性向上の観点からは、既存の制度のほかに、ホワイトカラー・エグゼンプションを推奨していく動きであると考えられる。
もっとも、労働時間規制の適用除外の範囲を広げすぎると不利益も考えられる。すなわち、労働時間規制が外れる職種が増え、結果として労働時間が増え、労働者の生活保護という労働時間規制の目的を没却する恐れがあることがことも否めない。
そのため、このような労働時間規制の変更については、なお慎重に議論をすべきではなかろうか。
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 野口 大弁護士
- 野口&パートナーズ法律事務所
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満1-2-5 大阪JAビル12階
- 業務効率化
- LegalForceキャビネ公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 岡 伸夫弁護士
- 【無料】監査等委員会設置会社への移行手続きの検討 (最近の法令・他社動向等を踏まえて)
- 終了
- 視聴時間57分
- ニュース
- 金融庁にルール変更の動き、「真の株主」把握しやすく2024.4.19
- NEW
- 金融庁は株主名簿に載らないが、株主総会で議決権を持つ実質的な株主を企業が把握しやすくするよう...
- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
- 登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分
- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...
- 弁護士
- 前田 敏洋弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- セミナー
- 原 武之弁護士
- 並木 亜沙子弁護士
- 【リアル】人事・労務管理(概要編)-法務担当者向け 法務基礎シリーズ-
- 2024/05/09
- 15:30~17:00