AI全盛時代に向けて注力すべき「法務業務」

 
 

こんにちは。法務専門キャリアアドバイザーの潮崎です。今日のテーマは、「AIと法務」。

リーガルテックツールの飛躍的な性能向上に伴い、世間一般でも、こうしたテーマが話題にのぼることが増えて来ました。

私自身、日々のキャリア相談を通じて、多くの法務担当者の方とお話をする機会があるのですが、皆さま、AIの浸透が、今後の法務業務、ひいては法務キャリアにどのような影響をもたらすのか、強い関心を抱いておられます。

今回のメルマガでは、私自身が各社の法務担当者・弁護士・リーガルテック企業などから伺ったお話を踏まえ、AI全盛時代に向けて、法務担当者が注力すべき法務業務について考察させていただきます。

 

 

1.法務領域におけるAIの実力と今後の展望

個人的なお話になりますが、私は前職で法務領域の転職エージェントを務める傍ら、リーガルテックツールの導入支援なども行っていました。

その過程で、実際にリーガルテックツールに触れる機会がありましたが、契約書審査や英文契約書の翻訳などの分野において、目覚ましい勢いで、その機能と精度が進化しておりました。

特に、定まった審査ルールや前例にしたがって修正を加える、いわゆる「定型的な契約書審査業務」については、AIによる自動化が実現しそうな運びです。

また、日本語の自然言語処理が英語よりも難しいため、その実現は少し先になりそうですが、英語圏では、法律相談のQ&Aデータベースから、

AIが相談内容と類似したQ&Aを特定し、法律相談の回答を導き出すツールが法律事務所などを中心に使用されていると聞きます。

もしかしたら、これから10年ほどの間に、日本においても、パターン化された法律相談、契約書審査などは、国内法or外国法、英文or和文の別を問わず、AIが担当する時代が来るかもしれません。

 

2.AI全盛時代に法務担当者の手に残る法務業務

上述のような、いわゆる“AI全盛時代”が訪れたときに、人間が行うべき法務業務として何が手元に残るのか。
今後の法務キャリアを占ううえで非常に重要なテーマになると思います。

この点、法務に携わる様々な関係者のお話を伺う限り、ポイントとなるのは以下の3つとなりそうです。

 

(1) 「正解のない」問いに対して、リーガル・ビジネス等、様々な考慮要素を元に判断する仕事
(2) コミュニケーションを取りながら、関係者の頭の中にある情報を引き出し整理する仕事
(3) 事業部担当者や経営陣を納得させ、モチベートし、期待する行動を起こさせる仕事

 

いずれも、AIが苦手とする、①正否の判断材料に乏しい(教師データが少ない)分野での判断、②横断的な判断、③相手の心情に配慮しながらのコミュニケーションなどに関わる業務になります。

 

具体的な業務で言うと、

 

・新規事業周りの法務相談
・リーガル/ビジネス両観点が求められる非定型的な法務相談
・リーガル/ビジネス両観点が求められる非定型的な契約書審査・作成
・社内外の人間とのコミュニケーションを要するコンプライアンス関連業務

 

などが挙げられます。

AI全盛時代に価値のある法務担当者とみられるために、チャンスに積極的に手を上げながら、上記業務の割合を増やして行くことが重要になるのではないでしょうか。

 
 
株式会社パソナ
法務専門キャリアアドバイザー
潮崎明憲
大阪市立大学法学部卒、近畿大学法科大学院修了。法務・総務担当として入社した営業研修会社の事業を4年にわたって支えた後、2014年より、米国訴訟における日本企業支援(eディスカバリー)業務に従事。2016年からは、法務専門エージェンシー、株式会社More-Selectionsにてエージェントとして、1000社超の企業の法務職採用に携わる。2021年9月、同社のパソナへの吸収合併を機に、株式会社パソナにて法務職専門のキャリアアドバイザーを務める。
 
 
 
 

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