面接で「法務としての失敗談」を聞かれたらどう答える?

こんにちは。法務専門キャリアアドバイザーの潮崎です。

ここでは、普段、求職者の方からいただく面接フィードバックを踏まえ、多くの法務パーソンが苦手とする面接質問への対策をご紹介します。

本日ピックアップする質問は以下です。

1.質問の意図

誰しも、「面接を通じて評価を上げたい」と考える中で、“失敗談”という、評価を落としかねない話題を披露しなければならない点がこの質問の難しさです。

それでは、面接官は何を意図して、この質問を行うのでしょうか?
複数の面接官のお話を伺う中で見えてきたのは以下の3点です。

(1)実務経験の豊かさの確認
人間がミスをする生き物である以上、仕事に失敗はつきものです。そのため、実務経験が豊かな人であればあるほど、仕事上の失敗をする確率が高くなります。

失敗談の引き出しが多く、「面接の場でウケる失敗談」を披露できる応募者は、充実した実務経験を積んでいる可能性が高いという見方ができるようです。

(2)自己開示できる人柄か否かの確認
法務として円滑に仕事を進めるうえで、周囲と信頼関係を築くことが不可欠ですが、そのためのポイントとなるのが、「自己開示力」です。

自己の体験や自分の意見・思いをオープンに話せる人の方が、周囲と距離を詰めやすい側面があるためです。

そのため、面接時に「自己開示力」を重視する面接官は少なくありません。

(3)失敗とどのように向き合う人物かの確認
どんなに優秀なビジネスパーソンでも、人である以上、ミスは避けられません。

そのため、失敗はあるものという前提のもと、「失敗」に直面したときにどのように振る舞い、その後の糧として行けるかがビジネスパーソンとして重要になります。

面接官は、失敗談を聞く中で、応募者が失敗を力に変えて行ける人物なのか、失敗を乗り越える芯の強さを備えた人物なのか等を確認しているようです。

2.法務職の選考ならではの注意点

業務上の失敗談を話すにあたっては、「いつ、どこで、誰と何の業務をして何がどうなったか」という説明が大なり小なり必要になりますが、法務職の場合、

・業務の専門性の高さ
・取り扱う情報の繊細さ

ゆえに、特有の難しさがあります。

あまりに詳細・具体的に前提情報を話し過ぎてしまうと「秘密情報の管理意識が低い人材」という心証を抱かせるおそれがありますし、

逆に、情報を伏せ過ぎると、「何を言っているかわからない。説明が苦手なのか?」という心証に繋がりかねません。

「秘密情報に触れず、かつ、場の状況が伝わるギリギリの範囲で話に具体性を持たせる」という意識で、面接で披露する情報を事前に精査しておくことが大切です。

特に、企業名・契約内容・商材名・個人名等を話題に出す際は、その開示の適否につき、慎重な検討が必要です。

3.どんな失敗談を披露すべきか

失敗談を問われた際、どうしても気になるのは、回答を通じて、自分の評価が下がってしまうのではという点だと思います。では、評価を上げる(又は下げない)ためにどのような失敗談を披露すればよいのでしょうか。

・応募先企業においても起こりえる失敗談
応募先企業においても起こりえる失敗談は面接官の興味関心を引きやすい傾向があります。逆に、特定業界・特定状況下でのみ発生する失敗談は、単なる雑談の域を出ず、評価が上がりづらい可能性があります。

・失敗の再発予防に繋がる「学び」を得た失敗談
単なる残念な失敗の披露で終わらず、同種の失敗の再発を予防する具体的な「学び」に繋がっている失敗談は評価が高まる傾向があります。

そのためには、単に「以後、十分注意します」といった抽象的な反省に留めず、説得力のある原因分析と、再発予防のための「具体的な業務フローの改善実績」を示す必要があります。

例えば、「ミスの再発予防のために、~の際、●●な業務工程を新たに盛り込むようになった」といった具合です。

そうして新たに加わった業務工程自体が、「ノウハウ」を構成するものですし、業務の熟練を示すものとして、ポジティブな印象を与えられると思います。

本日は、「“法務としての失敗談”を面接で尋ねられたとき」の対応についてご紹介しました。

事前準備なく、この質問にさらされた場合、披露すべき失敗談のチョイス、どこまでの情報を開示するか等で悩み、うまく答えられないケースが多いと聞いています。

「良い失敗をして来た人材だ」という心証を与えられるよう、十分な準備を行って面接に臨んでみてください。

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株式会社パソナ
法務・ハイクラス専門キャリアアドバイザー
潮崎明憲
大阪市立大学法学部卒、近畿大学法科大学院修了。法務・総務担当として入社した営業研修会社の事業を4年にわたって支えた後、2014年より、米国訴訟における日本企業支援(eディスカバリー)業務に従事。2016年からは、法務専門エージェンシー、株式会社More-Selectionsにてエージェントとして、1000社超の企業の法務職採用に携わる。2021年9月、同社のパソナへの吸収合併を機に、株式会社パソナにて法務・ハイクラス専門のキャリアアドバイザーを務める。
 
 

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