法務求人の応募資格欄の読み方

 
 

こんにちは。法務専門キャリアアドバイザーの潮崎です。

今回の『企業法務ナビ キャリアメルマガ』では、私自身の求人企業との打ち合わせ経験等を元に、“法務求人の「応募資格欄」の読み方”について解説いたします。

 

 

1.法務求人の「応募資格」の実状

法務職の求人票の一般的な特徴として、「応募資格のハードルが高い」という点が挙げられます。具体的には、

・法務実務経験●年以上
・△△業務が独力で可能なこと
・■■語を〇〇レベルで使用できること
・~業界での●年以上の経験
・□□法の知識、▲▲の資格
・コミュニケーション力、傾聴力、ロジカルシンキング力、自走する力があること

等々です。そのため、応募資格欄の記載を見て、思わず応募に腰が引けてしまう方も少なくありません。

 

2.求人企業は応募資格をどう捉えている?

法務パーソンは日々の仕事で「法律」と向き合っていますが、その法律は基本的に、“要件”と“効果”で構成されています。そして、法律にとっての“要件”は絶対的なもので、要件を満たさない限り、法律効果は発生しません。

その感覚に慣れてしまっているためか、経験上、法務パーソンは、「応募資格」に対しても、過度に尊重する傾向が見られます。

しかし、求人票記載の応募資格を満たさない求職者が応募を行った結果、内定に至るケースは実は珍しくありません。

なぜならば、求職者が他の応募者との相対的な競争にさらされているのと同様に、求人企業もまた、他の求人企業との相対的な競争にさらされているためです。

 

そのため、ほとんどの求人企業が、応募者の集まり状況を見ながら、選考基準≒応募資格 のハードルを上下させています。

実際、過去には、法務経験5年以上、TOEIC800点以上、中国語ネイティブレベルを必須としていた求人企業が、最終的には、TOEIC650点ほど、中国語の読み書き未収得の法務未経験者を採用したケースもあります。

それだけ、求人企業の設定する応募資格は法律要件とは異なり、柔軟で玉虫色なものと言えます。

 

3.求人票から応募者の集まり具合を探る

ここまで、実際の応募資格のハードルは、応募者の集まり具合により上下するというお話をして来ました。

しかし、その一方で、運用上、求人企業側の選考基準≒応募資格 が変更になった場合でも、求人票の記載自体には変更がないことが少なくありません。

そのため、ある程度、こちら側で、求人への応募者の集まり具合を予想しながら、求人票記載の応募資格が、運用と合致したものか否かを読み取る必要があります。具体的には、以下を総合考慮することになります。

 

【応募者の多寡を左右する要素】
・市場全体での法務求人数
・会社の規模・知名度
・提示している年収額
・勤務地
・業務内容(応募者が自身の市場価値の向上に繋がると感じる業務の割合)
・法務組織の構成人数 ※少人数の場合、敬遠されがち
・年間休日の多寡
・残業時間の多寡
・福利厚生の手厚さ
・雇用形態 ※有期雇用の場合は応募数が激減
・教育・指導・サポート体制
・インターネット上の口コミ

これらを総合考慮した結果、あまり応募者が集まらないと想定され、なおかつ、求人開始から相応に日数が経過している場合には、選考基準≒応募資格 のハードルが下がっている可能性が高いため、ご自身が応募資格を多少満たしていなくても、強気に応募する価値があるということになります。

特に近年は、法務職では売手市場が続いており、各社、応募資格のハードルを下げて運用する傾向にあります。応募資格欄の記載で応募を諦める前に、「この求人は応募者が集まっているのか?」という視点で、ぜひ、求人票を検討してみてください!

 

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株式会社パソナ
法務専門キャリアアドバイザー
潮崎明憲
大阪市立大学法学部卒、近畿大学法科大学院修了。法務・総務担当として入社した営業研修会社の事業を4年にわたって支えた後、2014年より、米国訴訟における日本企業支援(eディスカバリー)業務に従事。2016年からは、法務専門エージェンシー、株式会社More-Selectionsにてエージェントとして、1000社超の企業の法務職採用に携わる。2021年9月、同社のパソナへの吸収合併を機に、株式会社パソナにて法務職専門のキャリアアドバイザーを務める。
 
 
 
 

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