法務パーソンが苦手な面接質問とその対策(4)

 
 

こんにちは。法務・ハイクラス専門キャリアアドバイザーの潮崎です。

ここでは、普段、求職者の方からいただく面接フィードバックを踏まえ、多くの法務パーソンが苦手とする面接質問への対策をご紹介します。

本日ピックアップする質問は以下です。

 

 

1.質問の意図

法務職に限りませんが、この質問に苦手意識を持つ方はかなり多いのではないでしょうか。
面接という場で、出来るだけポジティブに振る舞い、好印象を残したいという想いがある中で、誰かの悪口に繋がりかねない回答を促されることが一因だと思います。

この質問の意図としては、主に以下の3つです。

 

(1)回答内容そのものから、応募者が大事にしている価値観を探りたい
(2)回答時の振る舞い(所作、表情、話の運び方等)から、応募者の人物特性を探りたい
(3)それらを踏まえ、自社メンバーとの相性を探りたい

ちなみに、たまに、「苦手な人はいません」という回答を行ってしまう方もおりますが、それでは、面接官の質問意図が満たせないことになります。

また、前提として、どんな人物も苦手としない聖人君主のような人物はいないという考えで、面接は行われますので、かえって、「自己開示ができない」、「面接に非協力的」、「嘘をついている」というネガティブな心証となることが多いです。

そのため、例えご自身が、人に対する許容度が高い方であったとしても、何かしらの具体的な回答を行ったほうがよいと言えます。

 

2.法務職の面接特有の注意点

法務パーソンと一口に言っても、その特徴は、皆さま千差万別ですが、面接官の中には、法務パーソンに対するある種のネガティブな偏見を抱いている方も少なくありません。具体的には、

・正義感、コンプライアンス意識が強すぎて融通が効かないのではないか
・事業部に多い「体育会系」のノリを極度に嫌うのではないか
・人間関係に潔癖でストレスをためやすいのではないか

といった偏見です。

そのため、この種の質問に回答する際は、回答内容が、上記の偏見を助長する内容になっていないかという点でも、ご自身の回答をチェックする必要があります。

特に、法務パーソンは仕事柄、経営層や事業部その他、多数の当事者から相談を受ける立場にありますので、“周囲が相談しやすいパーソナリティ”を有していることが、一つの重要な素養になります。

この質問への回答から、「人間関係に潔癖な人」という心証だけは与えたくないところです。

 

3.回答の方向性

(1)自分自身の軸を堂々と示す
まず、自分がどのような価値観に重きを置いているのかをしっかりと示した上で、苦手な人の特徴を伝えることが重要になります。

例えば、「誰を前にしても、相手を尊重し誠実に振る舞うこと」を大事にしているため、「自分より立場の弱い人に横柄に振る舞う人」は苦手ですといった具合です。

ご自身の軸をしっかりと示すことで、苦手な人という、ややネガティブな話題を口にしながら、「芯が強い人」というポジティブな印象を残せる余地が出てきます。

 

(2)苦手な人の特徴は具体的かつ簡潔に伝える
また、苦手な人の特徴を伝える際には、ある程度の具体性を持って伝えることをお薦めしています。

・抽象的な説明に留まると、苦手な人の対象範囲が広く見えてしまうこと
・抽象的な説明に留まった場合、面接官は回答の意図をくみ取るために追加の質問を強いられること

などが主な理由です。

一方で、具体的に話そうとするあまり、詳細に話し過ぎてしまうと、ネガティブな話題を話す時間が長くなり、さらに、特定の誰かに強い恨みを抱いているかのようなネガティブな印象を面接官に与えかねません。

その意味で、バランスが非常に難しいところですが、面接官が、「ああ、そういう人いるよね」とイメージできる程度の具体性・簡潔性を目指して回答するのがよいと思います。

 

(3)追加の質問に備えて準備を行う
ここまで、「苦手なタイプの人は?」という質問への対応方法につき、解説して来ました。しかし、この質問に対処しただけで、安心するのは危険です。この種の質問は、

「では、苦手なタイプの人にどのように対処しますか?」

という追加の質問とセットで聞かれることが多いためです。

この追加の質問に対しては、

・出来るだけ自分自身の体験に基づいた具体的な回答を行う
(過去に~なことがありまして、その時は・・という形式)
・最後はポジティブな心証となるように着地させる

以上2点を意識して回答するとよいと思います。

ぜひ、良い準備をして、これらのデリケートな質問にうまく対応してみてください!

 

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株式会社パソナ
法務・ハイクラス専門キャリアアドバイザー
潮崎明憲
大阪市立大学法学部卒、近畿大学法科大学院修了。法務・総務担当として入社した営業研修会社の事業を4年にわたって支えた後、2014年より、米国訴訟における日本企業支援(eディスカバリー)業務に従事。2016年からは、法務専門エージェンシー、株式会社More-Selectionsにてエージェントとして、1000社超の企業の法務職採用に携わる。2021年9月、同社のパソナへの吸収合併を機に、株式会社パソナにて法務・ハイクラス専門のキャリアアドバイザーを務める。
 
 
 
 

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