入社後のミスマッチを防ぐ逆質問 “10選”(後編)

 
 

こんにちは。法務・ハイクラス専門キャリアアドバイザーの潮崎です。

前回ご紹介した、「入社後のミスマッチを防ぐ逆質問」がご好評をいただきましたので、今回も、法務パーソンにお薦めしたい“面接時の逆質問”をご紹介します。

 

 

転職における大きなリスクの一つが、「入社後のミスマッチの判明」です。

ミスマッチの度合いがあまりに大きい場合、ときに入社後数ヶ月ほどで、転職活動の再開を強いられる例も見られます。

しかし、ご存知のように、短い在籍期間で転職活動を行っているという事実は、“短期離職のリスクの高い人材”という評価と結びつきやすく、選考上、明確にネガティブに働きます。

さらに悪いことに、そのネガティブな影響は、キャリアを通じて長期スパンで及ぶおそれもあります。

そのため、入社後のミスマッチを防ぐために、面接等を通じて、事前に情報収集を行う意義は、想像以上に大きいと言えます。

 

1.法務パーソンが直面しやすいミスマッチ事例

前回は、社風・事業部門との関係性・業務量の観点からのミスマッチ事例をご紹介しました。

今回は、(1)業務内容・(2)人間関係・(3)サポート体制の観点からご紹介します。

 

(1)求人票記載の業務内容との不一致
 ・当初任せてもらえると考えていた業務が実際は任せてもらえなかった
 ・定型的な業務の割合が高かった
 ・想定よりも法務以外(総務等)の業務の割合が高かった

 

(2)上長との相性が悪かった
 ・評価軸が、自分の価値観と大きく異なっていた
 ・人間性が合わなかった

 

(3)入社後のサポート体制が薄かった
 ・社内独自の作法・手続き・書式等、わからないことを気軽に聞ける環境がない
 ・教育体制、ナレッジ共有体制が整備されていなかった

 
 

2.ミスマッチを予防するためにお薦めの逆質問

■業務内容の確認

質問①:「求人票記載の業務のうち、(ア)入社後すぐに任せていただける業務、(イ)ある程度、社内に精通して初めて任せていただける業務などの別がありましたら、教えていただけないでしょうか。」

求人票に記載があっても実際には、入社後、相応に高い評価を受けない限り任せる気のない業務が含まれているケースがあります。その辺りの見極めを目的とした質問になります。

 

質問②:「今回募集しているポジションでは、(ア)定められた業務ルール・手順に従って正確なアウトプットを出すこと、(イ)正解のない課題に対し説得力のあるアウトプットを出すこと、いずれがより強く求められますか?」

入社後、定型的な業務の割合が多くなるのか(定まった審査ルール・作法に基づく契約書審査等)、非定型的な判断業務が中心となるのかを見極めるための質問になります。

 

質問③:「総務周りなど、法務以外のお仕事を任せられる機会はありますか?」

会社によっては、繁忙度合いにより、法務のみならず、総務業務等も担当して欲しいと考えている企業もあります。法務業務専任で担当したいというご希望がお有りの場合は、この点も確認した方がよいかもしれません。

 

■評価基準・上長との相性の確認

質問④:「法務部門内で評価の高い法務パーソンの特徴を教えてください。」
質問⑤:「今回の採用で特に重視したいスキルセットまたはコンピテンシー(行動特性)がありましたら教えてください。」

会社により、法務部門に求められることは大きく異なります。そのため、ご自身の想像されている活躍イメージと、会社の評価基準に乖離がないか確認しておくことが大切です。

 

質問⑥:「直属の上長となる方のお人柄について教えてください。」
質問⑦:「直属の上長となる方のお仕事ぶりの特徴について、もしご存知でしたら教えてください。」

これまでの転職支援の経験上、「直属の上長と良好な関係を築けないこと」を理由に転職する方は非常に多いです。

“面接官から見た上長”を語ってもらうことで、上長となる方の性格・仕事への価値観などを確認しておくのは有効です。

 

■サポート体制の確認

質問⑧:「法務部門内でのミーティングの頻度はどのくらいありますか?」
質問⑨:「法務部門内でのコミュニケーションで主に使われるツールを教えてください。」
質問⑩:「業務知識の新たな学習・アップデートに関し、研修その他、会社として行われている取り組みは何かありますか?」

こちらは、上司やメンバーに気軽に相談できる環境があるのか、どのような教育体制を敷いているのかなどを確認する質問になります。

「入社したものの誰に何を聞いてよいのかわからず孤立する」という事態を回避するためにも、確認しておきたい内容です。

 
 

3.終わりに

前回に引き続き、法務職の面接時にお薦めの質問例をご紹介しました。かなりの数があるため、実際に面接の場で全てを質問するのは難しいかもしれませんが、転職エージェント経由で応募を行った場合には、面接以外の場でも、エージェントを通じて質問を行うことが可能です。

入社後のミスマッチを絶対起こさないためにも、ぜひ、効果的に利用してみてください!

 

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株式会社パソナ
法務・ハイクラス専門キャリアアドバイザー
潮崎明憲
大阪市立大学法学部卒、近畿大学法科大学院修了。法務・総務担当として入社した営業研修会社の事業を4年にわたって支えた後、2014年より、米国訴訟における日本企業支援(eディスカバリー)業務に従事。2016年からは、法務専門エージェンシー、株式会社More-Selectionsにてエージェントとして、1000社超の企業の法務職採用に携わる。2021年9月、同社のパソナへの吸収合併を機に、株式会社パソナにて法務・ハイクラス専門のキャリアアドバイザーを務める。
 
 
 
 

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