厚労省が基準を改定へ、パワハラの要件について

はじめに

日経新聞電子版は18日、厚労省の有識者検討会がパワーハラスメントの基準の絞り込みを行っている旨報じました。民事裁判例も蓄積され、これまで示されていた基準をさらに明確なもとなるように改定される模様です。今回は有識者検討会から提言されている改定案の概要を見ていきます。

パワハラとは

社会的に地位の強い者がその立場を利用して、自らよりも地位の低い者に対して行う嫌がらせの総称をパワーハラスメントと言います。2001年頃に考え出された概念で、その後一般的に職場などで職務上のパワーを背景に本来の業務の適正な範囲を超えて、継続的に人格や尊厳を侵害する言動を行ない、対象者の職場環境を悪化させる行為などと定義付けされたと言われています。現在厚労省のワーキング・グループにより策定された基準がガイドラインとして示されております。

厚労省の6類型

厚労省のワーキング・グループが策定した基準ではパワーハラスメントに該当すると考えられる6つの典型類型が示されております。この類型に該当するものだけがパワハラに該当するというわけではなく、またこれらに当たる場合でも直ちにパワーハラスメントに該当するというものではないとされます。6類型は以下のとおりです。
(1)暴行・障害(身体的な攻撃)
(2)脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言(精神的な攻撃)
(3)隔離・仲間外し・無視(人間関係からの切り離し)
(4)業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害(過大な要求)
(5)業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じ、または仕事を与えない(過小な要求)
(6)私的なことに過度に立ち入ること(個の侵害)

有識者検討会の改定案

現在改定案として提言されているものはこれまでの6類型を念頭にパワーハラスメントに該当する要件をより明確化し絞り込んだ基準を盛り込んでおります。つまり上記6つの類型に該当した場合、以下の3要素を満たした場合にパワーハラスメントに該当することになるとしています。
①優越的な関係に基づいて(優位性を背景に)行われること
②業務の適正な範囲を超えて行われること
③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

コメント

現在厚労省が発表しているワーキング・グループ策定の6類型を前提としてパワハラ防止策を定めている企業も多いと思われます。そこでそれらを前提とした上でより基準の明確化が進められております。6類型の行為が行われ、それらが優位性を背景に業務の適正な範囲を超え就業環境を悪化させる場合に該当することになります。行政や裁判所の判断もそれに準拠していくことと考えられます。パワハラは上司と従業員間の問題に留まらず、企業としても民事上、刑事上、行政上の責任を負う場合があります。また企業イメージの低下も招き株主等への影響も小さくありません。以上の要件や要素を念頭に企業内でも防止措置やガイドラインを策定し、就業規則での規定を置き、また社内研修を行うなどしてパワハラ対策を講じていくことが重要と言えるでしょう。

 
[著者情報] mhayashi

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2005年東京大学法学部第一類卒業
2006年弁護士登録(第一東京弁護士会)
2015年バージニア大学ロースクール卒業(LL.M.)
2016年Max Planck Institute for Innovation and Competitionにある
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東北大学法学部卒業、東京大学法科大学院修了

平成27年改正個人情報保護法の全面施行前後に、
個人情報保護委員会事務局において、
法令関係とデータの利活用関係を担当

近時の著書等には『個人情報管理ハンドブック[第4版]』(商事法務、2018)、
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「ビッグデータ・個人情報の利活用と先端ビジネス」(Business Law Journal、2018年8月号付録〔LAWYERS GUIDE〕)等がある。

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東京大学法学部卒
1999年弁護士登録(第二東京弁護士会)
カリフォルニア大学デービス校ロースクール修士課程卒(LL.M.)
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