法定金利超の貸付けで貸金業者を逮捕、利息の規制について

はじめに

中小企業経営者らに最高で法定利息の約22倍で貸し付けを行っていたとして、警視庁は6日までに貸金業「中央サポート」(東京都文京区)の代表藤田真人容疑者(38)とその従業員らを逮捕していたことがわかりました。今回は利息に関する法令の規制について見ていきます。

事件の概要

報道などによりますと、「中央サポート」元代表の藤田容疑者は2015年6月から2017年5月にかけて茨城県の中小企業社長ら6人に法定利息の7倍~22倍の金利で合計約1220万円を貸し付け、利息として約350万円を受け取っていたとされます。また同社は2012年3月に貸金業登録をしてから今年6月に廃業するまでの間に全国の中小企業経営者ら約310人に約9億5千万円を貸し付け、約2億4千万円の利息を得ていた疑いとのことです。これを受け警視庁は藤田容疑者ら4人を出資法違反の疑いで逮捕しました。

利息とは

金銭の貸し借りをする、いわゆる金銭消費貸借には原則として利息は付きません。当事者間で利息を付けるとの合意をすることによって利息が発生することになります。これを約定利息と言います。利息とは本来、消費貸借契約とは別個の契約ということです。貸し借りの両当事者が「商人」である場合には利息の約定がなくても当然に利息が発生します(商法513条1項)。利率については当事者間で定めなていない場合は年5%(民法404条)、商人間においては年6%(商法514条)となっております。なおこの法定利率については民法改正が可決されており、施行されたときから年3%となり商法514条は廃止となります。利率を定めた場合でも無制限に設定することはできず各種法令で厳格に規制されております。

利息制限法による規制

利息制限法1条では上限金利が定められております。まず元金が10万円未満の場合は年20%、10万円以上100万円未満は年18%、100万円以上は15%となります。この上限金利を超えた部分は無効となります。また判例によりますと、超過部分について既に支払っている場合は民法419条に従い元本に充当されたことになります(最判昭和39年11月18日)。現在この判例を根拠に債務整理の際の引き直し計算がなされております。弁済期を過ぎても支払が無い場合である債務不履行の際の遅延損害金についても利息と同時に約定することが一般的です。この場合の率は上記上限利率の1.46倍が上限となります。たとえば上限利率が年15%の場合は21.9%が遅延損害金の上限となります。なお貸金業者の場合は出資法の上限規制との関係で20%が上限となります(利息制限法7条1項)。

出資法による規制

出資法による規制では貸金業者の場合は年20%が上限金利となっております(5条の2第1項)。貸金業者以外の場合では年109.5%となります(5条1項)。この出資法による上限金利は利息制限法と異なり罰則が規定されており、5年以下の懲役、1000万円以下の罰金またはこれらの併科となります。この出資法の上限金利は2010年6月改正以前は29.2%となっており、利息制限法の上限金利からこの29.2%までの違法であるけれども罰則はない部分をいわゆるグレーゾーン金利と呼ばれており問題とされておりました。現在は両法で統一化されグレーゾーンはなくなっております。

コメント

本件で中央サポートは最大で上限金利の約22倍で貸し付けを行っていたとされます。出資法に違反し罰則が適用される利率となります。また利息制限法の上限金利を超える部分についても元本に充当された上で残りについては不当利得返還請求の対象となると言えます。このように現在はグレーゾーンはなくなり、年20%を超える場合は無効であると同時に罰則の対象となります。なお質屋に関しては質屋営業法で年109.5%まで許容されているため、現在でもグレーゾーンで貸し付けを行っていると言われております。また旧貸金業法43条の債務者が任意に支払った利息は一定の要件のもとで上限金利を超えていたとしても有効となるという「みなし弁済」規定はすでに廃止となっており、現在みなし弁済は成立せず、引き直し後の超過部分の返還を拒むことはできないと言われております。金融業者からの事業資金の貸し付けを受けている場合には利息が上限金利を超えていないかを今一度確認し、超えている場合には引き直し計算をした上で、時効となるまでに速やかに返還請求を検討することが重要と言えるでしょう。

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