消費税の増税と中小企業保護
2013/11/27 税務法務, 租税法, 税法, その他
消費税の増税およびそれに伴う問題点
現在、消費税について、平成26年4月1日、平成27年10月1日に税率の段階的な引き上げが予定されている。
この増税に伴ってしわ寄せが来る可能性が高いのが、小売業者に物やサービスを供給している中小規模の事業者である。
すなわち、消費税の増税分を価格に上乗せしたくない小売業者などが、力関係の弱い小規模の供給業者に対してその分の負担を押しつけることが予想されるためである。
そこで、このような事態を防ぐために、先日消費税特別対策措置法が制定され、またそのガイドラインが公正取引委員会や消費者庁等関係省庁から公表されることとなった。
これらの規制は、中小規模の供給業者はもちろん、小売業者側も規制に引っかかるリスクがあるため、各社の法務担当者のみならず、営業担当者、広告担当者などの関係者は規制内容を知っておくか、最低でも問題意識だけは持っておく必要がある。
禁止行為
禁止行為としては、以下のものがある。
①減額、買い叩き行為
例:本体価格が100円の商品で現在105円の商品を、増税後も105円のまま据え置くよう要求する。
②自社商品やサービスの購入を強制する行為
例:「消費税分の増額を受け入れる代わりに、うちの会社の商品を買ってくれ」と要求する。
③税抜き価格での交渉の拒否
例:供給者側が本体価格と消費税額を分けて見積もりを出すことを拒否する。
④報復行為
例:公正取引委員会に違反の報告などをした場合に、取引を取りやめるなどと脅す。
また、消費税に関連するような形での、広告も禁止される。
例えば、「消費税を価格に上乗せいたしません!」といった形で消費者に訴えかける行為は許されない。
新たに許容される行為
一方で、中小企業保護のために、消費税増税に伴って新たに許容される行為もある。
まず、広告については、景品表示法の規定に関わらず消費税を抜いての商品本体のみの価格の表示、すなわち外税表示が認められうる。
例えば、「9800円(税込10584円)」といった広告も可能である。
また、独占禁止法の規定に関わらず、中小企業群は一定のカルテルを結ぶことも可能となる。
例えば、本体価格に一定の消費税分を価格として上乗せする旨の合意を各企業間で締結することであったり、価格の表示方法について合意を締結することも可能である。
関連サイト
消費税転嫁対策特別措置法等ガイドライン
消費税の転嫁を阻害する表示に関する考え方
総額表示義務に関する消費税法の特例に係る不当景品類及び不当表示防止法の適用除外についての考え方
関連コンテンツ
新着情報
- セミナー
- 大久保 裕史弁護士
- 【リアル】契約審査総論・秘密保持契約 -契約審査 徹底演習シリーズ-
- NEW
- 2024/08/01
- 15:30~17:00
- ニュース
- 長期自宅待機でみずほ銀に賠償命令、退職勧奨について2024.5.1
- NEW
- 長期間にわたる自宅待機の末に解雇されたみずほ銀行の元行員の男性が解雇無効や損害賠償を求めてい...
- まとめ
- 経済安全保障法務:中国の改正国家秘密保護法の概要2024.3.15
- 2024年2月27日, 中国では国家秘密保護法(原文:中华人民共和国保守国家秘密法)の改正が成...
- 解説動画
- 斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
- 斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 視聴時間1時間8分
- 解説動画
- 浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間
- 業務効率化
- LegalForceキャビネ公式資料ダウンロード
- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 淺田 祐実弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 弁護士
- 並木 亜沙子弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階