喫煙による肺がんは自己責任?それとも企業責任?
2014/08/12 訴訟対応, 民事訴訟法, その他
事案の概要
「キャメル」などの銘柄で知られるアメリカの大手タバコ会社「RJレイノルズ・タバコ」がタバコによる肺がんで夫をなくした妻に訴訟を提起された。タバコ会社は「ニコチンのリスク」に関する情報提供を怠ったとして、米フロリダ州の陪審団が、懲罰的損害賠償として約2兆3900億円の支払いを命じる評決を言い渡した。あわせて、遺族側に対する約17億円の損害賠償も認められたとのこと。
懲罰的損害賠償とは、主に不法行為に基づく損害賠償請求訴訟において、加害者の行為が強い非難に値すると認められる場合に、裁判所または陪審の裁量により、加害者に制裁を加えて将来の同様の行為を抑止する目的で、実際の損害の補填としての賠償に加えて上乗せして支払うことを命じられる賠償のことをいう(wikipediaより)。日本においては認められていない。
このような裁判は初めてではなく以前にも州政府における医療費負担の抑制の観点から、たばこによる医療費増をめぐり、39州がたばこ関連産業各社に対し、損害賠償請求訴訟を起こした。その結果原告と被告との間でメーカー側が今後25年間に総額約42兆円の和解金を支払う等(基金を創設し、州政府や他の訴訟の原告への支払い、禁煙教育の資金とする)の和解案が合意された。
コメント
そもそもタバコの喫煙は自己責任なのか。それとも依存性等ニコチンのリスクについての情報提供を怠った企業に責任があるのか。「個人的」にではあるが、子供の喫煙はタバコの危険性についての理解を深めなかった企業の責任であると考える。しかし、現在タバコの箱にはしっかりと危険性が記載されており、認識することができる。それにもかかわらず吸い始めた、吸い続けている大人に関しては自己責任ではないだろうか。
企業は自社の商品につき一定の健康リスク等を孕んでいるものに関してはしっかりと情報公開を進める必要がある。日本には懲罰的損害賠償制度は現在のところは認められていないものの、法制度の変化により制度の導入も考えられる。そうである以上これからは企業の説明責任が一層求められ、真摯に果たすことが結果として企業を救うことになるだろう。
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