ベトナムで進むネット規制
2013/08/12   海外法務, 海外進出, 外国法, その他

ベトナムにおけるインターネット規制の概要

 ベトナムでインターネットに対する新たな法規制の動きがあり、ネット事業者を中心に反発の声が上がっている。

 新たな規制の内容は、ブログやソーシャルネットワークの利用に際しては、個人的な情報のやり取りに限定し、ニュース等の情報を共有することを禁ずるというものだ。
 この規制策は、7月15日に首相が署名していたが、先週その内容が明らかになると、すぐさま、大きな議論となった。あらゆるソーシャルネットワークにおいて、ニュースの共有が出来なくなるおそれが指摘されたからだ。

 当該規制策には、「個人の情報をやり取りするウェブページは、1つに集められた情報(aggregated information )を提供してはならない。」との条項が存在し、規制当局の解釈によれば、個人のウェブ利用者に、メディアや政府の発するニュース情報を、ブログや、ソーシャルネットワーク上で共有したり、引用したりしないように、注意喚起するものであるとしている。個人のウェブページにおいては、提供できる情報は、個人自身の情報にとどまることとなる。
 ベトナム政府によれば、この規制策の主要な目的は、メディア(新聞、TV等の既存メディア)の著作権などの知的財産権を保護することにある。事実、インタネーネット上での著作権の侵害事例は、増加している。

 この規制策には、インターネット事業者や、人権団体から当然に批判の声が上がった。ベトナムの人権委員会は、国際的な人権基準から見ても、当該規制は、無効とされるべきであると主張している。
 また、eBay、Facebook、Google、Yahoo等のインターネット事業者からなる、アジアインターネット連合(The Asia Internet Coalition)も、ベトナムにおけるビジネスの妨げとなり、経済的にもマイナスの効果をもたらすと批判している。

 1980年代のドイモイ(刷新)政策以来、ベトナムは経済的発展を遂げてきた。その中で、インターネット環境も整備され、人々が多様な情報を得る機会も多くなった。
 しかし、それは一方で今なお独裁体制を敷く、ベトナム共産党にとっては、脅威ともなる。
 今回の規制策が、インターネットに対する規制を強化することで、政府に都合の悪い情報の氾濫を抑えることを目的としているのは、明らかである。
 政府は、直接的な取り締まりにも乗り出している。2013年の1月から5月までの間に、50人以上のブロガーや、政治活動家が、インターネット上に反政府的な記事を投稿したとし、逮捕され、有罪判決を受けている。

 具体的な運用方法や、罰則について不透明な部分も多いが、当該、規制は、本年9月1日より実施される予定である。

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