インターネット市場での熾烈な競争~グーグル・ヤフーの提携
2010/07/29 コンプライアンス, 独禁法対応, 独占禁止法, IT
ヤフー日本法人は、27日、インターネット検索エンジン及び表示広告システムにつき、米グーグルから提供を受けることを発表した。これに対し、両社と同じくインターネット検索サービスを提供する米マイクロソフトの法務担当副社長ディブ・ハイナー氏は自身のブログで、「この提携が実現すればグーグルが日本のインターネット検索及び広告の分野で排他的支配を実現することになる。」と異議を唱え、物議を醸している。日本の公正取引委員会の松山隆英総長は28日の記者会見で、「広告主である顧客に関する情報が両社で共有されない以上、競争条件は損なわれず、独禁法上問題ない。」と発言した。もっとも、今後の展開について「競争状況や市場環境次第では問題となりうる。」として監視していく姿勢を示した。
私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下、独禁法)2条・3条は、事業者間が結合等により、他の事業者の事業活動を排除して公共の利益に反し、一定の取引分野における競争を実質的に制限することを禁止する。これに反した際は、同法7条により、競争制限行為の排除命令が公正取引委員会により命じられる場合があり、さらには同7条の2により一定の場合に公正取引委員会から当該事業者へ課徴金納付命令が下されることとなる。
今回の米グーグル・日ヤフー間の上記提携の合意内容では、提携内容が上記の通りインターネット検索・表示におけるハード面に限られ、広告主との関係や検索結果については両社は従来通り独立した関係となる。そのような事実関係から、インターネット広告主に対しては依然として両社が競争関係にあり、広告主・インターネット検索利用との関係でグーグルの排他的支配には至らないと公正取引委員会に判断されたものと言える。もっとも、松島総長が今後も監視を続けると述べたように、上記提携により広告掲載・検索利用の状況につき、他の事業者からグーグル・ヤフーへの大きな流出が生じれば、独禁法違反となりうることとなる。
新着情報
- セミナー
- 原田 雅史(弁護士法人GVA法律事務所/東京弁護士会所属)
- 【オンライン】知っているようで知らない⁉クレジットカードの仕組みや法規制
- NEW
- 2024/05/21
- 12:00~13:00
- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード
- 業務効率化
- Araxis Merge 資料請求ページ
- 弁護士
- 前田 敏洋弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- まとめ
- 今年秋施行予定、改正景品表示法の概要2024.4.25
- 昨年5月に成立した改正景表法が今年秋に施行される見通しです。確約手続きの導入や罰則規定の拡大...
- 解説動画
- 浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間
- 弁護士
- 淺田 祐実弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 解説動画
- 奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
- 登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分
- ニュース
- 東京都の住宅設備販売会社、カスハラを理由に取引先2社を提訴 ―札幌地裁2024.5.14
- NEW
- カスハラが原因で自社の従業員が抑うつ状態になったなどとして、東京都の住宅設備販売会社が、取引先...