消費税転嫁対策はいかに行われるか 公正取引委員会発表より
2015/01/30 税務法務, 租税法, 税法, その他

消費税転嫁対策特別措置法とは
消費税転嫁対策特別措置法は、特定事業者(大規模小売事業者など)が特定供給業者(大規模小売事業者へ継続的に商品または役務を提供する事業者など)に対して減額・買いたたき等の転嫁拒否行為を行ってはならないとしている。
取り組みの内容
公正取引委員会は、平成27年1月15日、平成26年12月までの消費税転嫁対策の取組について以下のように発表した。
(1) 情報収集
公正取引委員会は、中小企業庁と合同で,中小企業・小規模事業者等(売手側)から転嫁拒否行為に関する情報提供を求めるため,中小企業・小規模事業者等全体に対して,書面調査を実施している。さらに、平成26年11月からは個人事業者に対しても書面調査を実施している。他には、事業者及び事業者団体に対するヒアリング調査も行われている。
(2) 調査・指導・勧告
情報収集によって把握した情報を踏まえ、公正取引委員会による立ち入り検査等の調査が行われ、違反行為が認められた場合には、改善措置を取るよう指導・助言や勧告・公表が行われる。特に重大な違反行為に対して行われる勧告は事業者名の公表を伴うため、企業の社会的信用が失われることになる。
公正取引委員会及び中小企業庁は、平成25年10月から平成26年12月までの1,493件の指導を行い、公正取引委員会は、平成25年10月から平成26年12月まで13件の勧告を行っている。
勧告事例 トライグループの場合
平成26年12月に行われた2件の勧告のうち、1件を紹介する。
家庭教師による教育と、教室での個別指導を行う事業を営む株式会社トライグループは、業務委託契約を締結した家庭教師の委託料金について、平成26年4月以降も消費税率の引き上げ分を上乗せせず支払っていた。また、教室施設の賃料のうち、一部の賃貸人に対する賃料について、消費税率引き上げ分を上乗せせずに支払っていた。
このため公正取引委員会は、本件について調査を行った後、これらの行為がそれぞれ、消費税転嫁対策特別措置法第3条第1号後段(買いたたき)の規定に違反するものであるとして、平成26年12月19日、トライグループに対し、今後、特定供給事業者(家庭教師、賃貸人)による消費税の転嫁を拒むことのないよう、(1)自社の役員及び従業員に本勧告の内容について周知徹底すること、(2)同法の研修の実施等の社内体制整備のための措置を講じること、(3)実施した措置を速やかに公正取引委員会に報告すること等を内容とする勧告を行った。
コメント
消費税転嫁状況に対する中小企業庁の平成26年12月の書面調査では、転嫁状況について、事業者間取引では83.2% 、消費者向け取引では73.0%の事業者が「全て転嫁できている」と回答しました。また、「全く転嫁できていない」と答えた事業者は、事業者間取引では3.9%、消費者向け取引では4.9%であり、平成26年7月から比べると大きな変化は見られない。
行政側はこの状況を改善するため、より一層の取り組みを行うことが予想されることから、法務担当者としては、転嫁拒否行為と見られる取引がないかどうか、今一度継続的な取引についての取引内容の確認し、必要であれば契約内容を見直さなければならない。
関連サイト
(平成27年1月15日)平成26年12月までの消費税転嫁対策の取組について(公正取引委員会)
消費税転嫁対策特別措置法の内容について
消費税転嫁対策措置法(公正取引委員会)
消費税の転嫁対策措置法 5つのポイント
>公正取引委員会 消費税転嫁対策の取り組み(7月まで)を発表(企業法務ニュース)
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