ピンク・レディー敗訴! パブリシティー権、最高裁で認められる
2012/02/02 訴訟対応, 民事訴訟法, エンターテイメント
事案の概要
「女性自身」の記事で写真を無断で使われ「パブリシティー権」を侵害されたとして、歌手のピンク・レディーの2人が光文社に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決が2日、最高裁であった。
今回でいうパブリシティー権とは、著名人が氏名や肖像を無断で使われない権利を指し、明確な法的位置付けがない。下級審では一定範囲で権利を認める判例が出ていたが、最高裁が判断するのは初めてで、判決内容が注目されていた。
問題となったのは、週刊誌「女性自身」2007年2月27日号の記事で、「UFO」や「ペッパー警部」など5曲の振り付けを利用したダイエット法を紹介し、同社側が過去に撮影したピンク・レディーのステージ写真など14枚を掲載した。提訴したピンク・レディー側は「実質的なグラビア記事で、ピンク・レディーに夢中になった世代を引きつけて利益を得ようとした」とパブリシティー権侵害を主張していた。
最高裁判所小法廷は判決理由で、パブリシティー権を「(著名人などの)商業的価値に基づく人格権のひとつで、顧客吸引力を排他的に利用する権利」と初めて定義。法的権利であることを明言した。
そして、パブリシティー権侵害になる具体的ケースとして(1)肖像それ自体を鑑賞対象とする商品に使う(2)商品の差別化に使う(3)商品の広告として使う――など「専ら顧客吸引力の利用を目的とする場合」と説明。グラビアやキャラクター商品などは侵害に当たるとの判断を示した。
一方、著名人は社会の耳目を集めやすく、報道や創作物など正当な表現行為で氏名や肖像を使われるのは一定程度、受忍すべきだとも指摘。今回の記事は、ピンク・レディーそのものを紹介する内容ではなく、ダイエット法などを紹介する程度にとどまっているとして「顧客吸引力の利用が目的ではない」と結論付けた。これは、請求を退けた一、二審判決を支持したものであり、原告側(ピンク・レディー)の敗訴が確定した。今回の判断は、5人の裁判官の全員一致である。
私見
今回の判決は、パブリシティー権が法的権利であると最高裁判所が初めて認めた重要なものである。ピンク・レディーは、2010年9月から活動再開しており、昨年には全国ツアーも行った。
彼女たちの活躍や輝きは女性自身の読者層の憧れであろう。同誌で上記写真が用いられた背景には、ピンク・レディーの知名度や人気も多少はあったと思うが、今回ピンク・レディーの写真が用いられたのは、あくまでダイエット方法の見本としてであるため、パブリシティー権侵害はないとされたと考えられる。
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