忘年会シーズン到来! 同僚の飲酒運転、とばっちりがあなたにも?!
2010/12/16   コンプライアンス, 刑事法, その他

皆さんおまちかね、忘年会シーズンがやってきました!

外でお酒を飲むときに、決まって問題となるのが、飲酒運転。

「自分は飲んだら運転しないから大丈夫。」

そう思ったあなた、ご用心!!

平成19年改正後の道路交通法(以下「法」と省略)は、以下のように定めています。

(酒気帯び運転等の禁止)
第六十五条
1 何人も、酒気を帯びて車両等を運転してはならない。

2 何人も、酒気を帯びている者で、前項の規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがあるものに対し、車両等を提供してはならない。

3 何人も、第一項規定に違反して車両等を運転することとなるおそれがある者に対し、酒類を提供し、又は飲酒をすすめてはならない。

4 何人も、車両(トロリーバス及び道路運送法第二条第三項に規定する旅客自動車運送事業(以下単に「旅客自動車運送事業」という。)の用に供する自動車で当該業務に従事中のものその他の政令で定める自動車を除く。以下この項、第百十七条の二の二第四号及び第百十七条の三の二第二号において同じ。)の運転者が酒気を帯びていることを知りながら、当該運転者に対し、当該車両を運転して自己を運送することを要求し、又は依頼して、当該運転者が第一項の規定に違反して運転する車両に同乗してはならない。



つまり、たとえあなた自身が飲酒運転をしなかったとしても、

①お酒を飲んだ同僚に、自分の車を貸してあげた場合(法65条2項)

②車で帰るであろう同僚に、お酒をすすめた場合(法65条3項)

③お酒を飲んだ同僚の車に乗せてもらった場合(法65条4項)

には、以下の罰則が科されることになります。

運転手が酒酔い運転(※)運転手が酒気帯び運転(※)
①車両提供の場合5年以下の懲役又は100万円以下の罰金(法117条の2第2号)3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(法117条の2の2第2号)
②酒類提供の場合3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(法117条の2の2第3号)2年以下の懲役又は30万円以下の罰金(法117条の3の2第1号)
③同乗の場合3年以下の懲役又は50万円以下の罰金(法117条の2の2第4号)2年以下の懲役又は30万円以下の罰金(法117条の3の2第2号)
なお、東京地裁の裁判例によると、①~③のうち、複数の行為を行った場合には、刑法54条1項(観念的競合、牽連犯)に該当する事情がない限り、その数だけ犯罪が成立し、各罪は併合罪(刑法45条)とされてしまいます。


東京地判 平成20年7月16日(平成20年(特わ)第665号)

事案Aが、飲酒していた運転者(B)に対し、自己の自動車を貸与して提供した上、自己の運送を依頼してこれに同乗したという、飲酒運転への車両等提供及び同乗の事案。
判旨Aによる飲酒運転への車両等提供行為及び同乗行為は、それぞれに独自の当罰性が認められ、各行為が犯罪として成立する。そうだとすると、各罪に該当する行為があるときは、各罪が成立し、刑法54条1項(観念的競合、牽連犯)に該当する事情がないときは、基本的に、各罪は併合罪となると解するのが合理的であるとし、Aに懲役3年、執行猶予5年間を言渡した。


※酒酔い運転と酒気帯び運転の違い


酒酔い運転アルコール濃度の検知値には関係なく、「アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態」である場合。
具体的には、歩かせてふらつくかどうか、視覚が健全に働いているか、運動・感覚機能が麻酔されていないか、言動などから判断・認知能力の低下がないかなどの点が総合的に判断される。
酒気帯び運転血中アルコール濃度(又はそれに相当するとされる呼気中アルコール濃度)が、一定量に達しているかという、形式的な基準で判断される。


↑上記のような2種類の判断基準を用いることにより、運転手の体質に応じた処分が可能となる。

≪具体的には・・≫
運転手が酒に弱く、酒気帯びに満たないアルコール量でも酒酔い運転に該当する場合や、逆に、運転手が酒に強く、酒酔い運転の状態にはならなくても酒気帯びを満たすアルコール量を摂取している場合のいずれにも、道路交通法による処罰が可能となる。

【関連リンク】
・警視庁HP: http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotu/insyu/insyu_bassoku.htm

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