夫婦同姓の不都合な点と選択的夫婦別姓の問題点
2014/09/08 法務相談一般, 民法・商法, その他
選択的夫婦別姓とは
現行民法は、夫婦が婚姻前に決めた夫又は妻の氏を称することとしている(変更はできない)(民法750
条)。そのため、夫婦の別姓は原則できない。
しかし、選択的夫婦別姓は、夫婦が、婚姻の時に①夫又は妻の氏を称する(同姓)か、②各自の婚姻前の氏を称するかを決めて、夫婦の氏について夫婦の選択を認める制度である。
夫婦同姓の現状と選択的夫婦別性の課題
夫婦同姓の現状は、以下の通りである。
①旧姓を名乗りたい妻は、旧姓を通称使用して夫婦別姓と同じ状況としている。また、夫の姓を選択する妻が、夫婦の約9割を占めるが、夫又は妻のどちらかしか姓を選択できないのは、姓を選択する権利を侵害するとして、法改正を望む者がいる。そして、代々受け継がれてきた氏を大切にしたいと思っている人が、増えてきており、氏の変更が結婚の障害となっているのが現状である。
選択的夫婦別姓にした場合の課題は、以下の通りである。
ⅰ別氏夫婦の子供の氏はどうなるか、ⅱ別氏夫婦の子供はいったん決めた氏を変えることが出来ないのか、ⅲ選択的夫婦別姓の導入の前に結婚した夫婦は、別氏夫婦になることができるのか。
選択的夫婦別姓の課題の検討とコメント
ⅰについて、平成8年の法制審議会の答申によれば、夫婦があらかじめ子供の名乗る氏を決めるとされ、また、子供が複数いるときには、子供の氏は、統一される。また、ⅱについて、平成8年の法制審議会の答申によれば、子供に氏を変更する特別の事情があることと、家庭裁判所の許可が必要となる。そして、ⅲについて、平成8年の法制審議会の答申によれば、一定期間内に戸籍法の定めにしたがって、届出ることによって氏の変更が出来るとされている。
夫婦同姓は、氏が夫婦共同体を示すものと考えられていたため、民法上夫婦同姓を原則としたものと考えられる。しかし、妻が一人っ子で夫の姓を名乗ることとなれば、旧姓を名乗る者がいなくなってしまい、旧姓を残していきたい妻の意志を無視することとなってしまう。また、旧姓に愛着のある者は、結婚に踏み切れなくなり、事実婚を選ぶ夫婦が生じ、婚外子の遺産差別の問題を生じさせることにつながってしまう。したがって、選択的夫婦別姓の法改正をしてもいいのではないか。
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