KDDI「2年縛り」見直しへ
2015/08/25 契約法務, 消費者取引関連法務, 民法・商法, 消費者契約法, その他
1 概要
KDDIの田中社長は、8月7日、決算発表会見において、2年単位で契約を結ぶことで携帯電話利用者が解約をしにくくする「2年縛り」の見直しを検討していると語った。
2 「2年縛り」とは
「2年縛り」は、NTTドコモ・KDDI・ソフトバンクの大手3社が採用している料金プランであり、利用者が契約から2年経った時点で1カ月以内に解約手続きをしないと契約は自動更新される。それ以降に解約すると、9500円の違約金を支払うことになる。
この「2年縛り」に対しては、総務省の有識者会議が「拘束のない料金プランが高すぎるため、事実上、2年縛り契約しか選択肢がない」などとして、見直しを求める提言を先月行っていた。
なお、最高裁判所は、昨年12月、「2年縛り」は適法であると判断している。最高裁においては、9500円の違約金が①「解除に伴い事業者に生ずる平均的損害を超える違約金」(消費者契約法9条1号)に当たるか否か、②「消費者の利益を一方的・不当に害する」(同法10条)ものに当たるか否か、が争われたが、いずれにも当たらないとされたためである。
3 コメント
「2年縛り」については、アメリカにおいても主流であり、日本特有の業界慣行というわけではないという。しかし、2013年度に国民生活センターに寄せられた携帯電話に関する苦情・相談1万0133件のうち、解約関連は3226件と最も多いという。
企業は、利益の最大化が究極の目的であるが、消費者あっての存在でもある。したがって、利益を生むに当たっては、企業の社会的影響力の大きさに応じた社会的責任も考慮しなければならない。最高裁判所によって適法と判断されても、消費者の信頼を失うような契約条項なのであれば、それは見直すべきであると考える。純粋に法的妥当性だけでは割り切れないところに、ビジネス法務の難しさがあるといえる。
新着情報
- セミナー
- 原 武之弁護士
- 松本 健大弁護士
- 【リアル】紛争・クレーム・不祥事案件の対応方法 -法務担当者向け 法務基礎シリーズ-
- 2024/06/20
- 15:30~17:00
- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード
- 業務効率化
- Araxis Merge 資料請求ページ
- 解説動画
- 大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間
- 解説動画
- 江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 視聴時間53分
- ニュース
- 今年秋施行予定、フリーランス新法とは2024.4.24
- NEW
- 個人事業主などを保護する「フリーランス新法」が今年秋に施行される見通しです。下請法と異なり全...
- まとめ
- 株主提案の手続きと対応 まとめ2024.4.10
- 今年もまもなく定時株主総会の季節がやってきます。多くの企業にとってこの定時株主総会を問題無く無...
- 弁護士
- 梅嵜 啓示弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 弁護士
- 野口 大弁護士
- 野口&パートナーズ法律事務所
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満1-2-5 大阪JAビル12階