長時間労働と過労死対策まとめ

病院職員自殺労災認定──学習時間も勤務時間!?

今月9日、国立病院機構の医療機関に勤務し、2016年に自殺していた20代の男性職員について、労働保険審査会は、労基署の判断を覆し、仕事についての学習時間は「業務そのもの」であり労働時間に含まれるものとして、労災と認定していたことが明らかとなりました。この男性職員の時間外労働時間は、月150時間を超えることもあったといいます。

また、2016年、別の国立病院機構の医療機関で勤務していた20代男性職員の自殺が過重労働による労災と認定されており、2018年7月には、労働基準監督署は国立病院機構(東京都)と当時の上司を労働基準法違反の疑いで書類送検しています。

独法病院の職員自殺は労災認定 審査会、労基署判断覆す
過労で職員自殺、病院側を労基法違反の疑いで書類送検へ

過労死とは

過労死とは、過労死等防止対策推進法第2条により、以下のとおり定義づけられています。

・業務における過重な負荷による脳血管疾患・心臓疾患を原因とする死亡
・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
・死亡には至らないが、これらの脳血管疾患・心臓疾患、精神障害

最初にお話しした長時間労働による自殺について、自殺した20代男性職員はうつ病を発症しており、そのうつ病発症と自殺が業務に起因すると認定されています。
この場合、「心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡」にあたるといえます。
このようなケースを「過労自殺」と表現することもあります。

過労死等防止法対策推進法(PDF)
過労自殺は、どのような場合に労災認定されるか?

長時間労働による過労死を防ぐには

日本における労働時間について、年間総労働時間および所定内労働時間は緩やかな減少傾向にあります。しかし、所定外労働時間はどちらかと言えば増加傾向にあり、2017年の所定外労働時間は前年に比べ2時間増加しています。
もっとも、一般労働者(常用労働者からパートタイム労働者を除いた労働者のこと)のみの総労働時間は横這い傾向にあるため、注意が必要です。

長時間労働を防ぐ対策として、年次有給休暇の取得や勤務間インターバル制度が挙げられます。

(1)年次有給休暇
平成28年における労働者(パートタイム労働者を除く。)1人あたりの年次有給休暇の取得率は、労働者1000人以上の企業で約55%、規模が小さくなるにつれて有給取得率も下がっていき、労働者100人未満の小規模企業では約44%となっています。

(2)勤務間インターバル制度
勤務間インターバル制度とは、終業時刻から次の始業時刻までの間に一定時間以上の休息時間 を設けることについて就業規則又は労使協定等で定めているもののことです。
もっとも、この制度を導入し ている企業の割合は平成 29 年で 1.4%にとどまっており、導入していない理由として「制度を知らなかったため」 は平成 29 年で 40.2%、回答企業全体の 37.3%と高い割合となっています。

すでに勤務間インターバル制度を導入している企業の事例が、厚生労働省HP(下記URL)から閲覧することができます。
様々な規模の企業で導入されておりますので、この機会にぜひご参照ください。

平成30年版過労死等防止対策白書(厚生労働省)
労働時間等の状況(PDF)

・具体的導入事例URL
勤務間インターバル制度_導入事例一覧
就業規則規定例(PDF)

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約1年26日前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
関連業務タグ:
関連法律タグ:
 
[著者情報] tamaki

詳細情報はありません。

※記事コンテンツを掲載したい方は、コチラ

このニュースに関連するセミナー

法務NAVIまとめ 労務法務 労働法
《東京会場》少人数でも課題克服!総合的法務機能 アップ講座 第6回(全8回)不祥事・紛争対応
2019年11月20日(水)
15:00 ~ 18:00
22,000円(税込)※消費税10%
東京都港区
講師情報
田代 啓史郎
TMI総合法律事務所 パートナー弁護士

2003年 一橋大学法学部法律学科卒業
2004年 最高裁判所司法研修所入所
2005年 第一東京弁護士会登録 TMI総合法律事務所勤務
2013年 デューク大学ロースクール卒業(LL.M.)
2013年 ロサンゼルスのクイン・エマニュエル・アークハート・サリバン法律事務所勤務
2014年 ニューヨーク州弁護士資格取得
2014年 TMI総合法律事務所復帰
2017年 パートナー就任

主催・協力
レクシスネクシス・ジャパン株式会社/ビジネスロー・ジャーナル
技術革新やグローバル化が進み、ビジネスを取り巻く環境や法規制が大きく変わってきています。
部員が1人ないし数人というような中小規模の法務部では、この流れを常にフォローアップするには人的に限界があるため、各法分野の専門家とのネットワークを作り、タイムリーに外部に依頼できる体制を構築することが不可欠です。
本講座は、そのような法務部の方を対象に、最新の法律実務を解説するとともに、どのように法務機能を充実していったらよいかを一緒に議論していく講座です。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
労務法務 労働法
《東京会場》メンタルヘルスの問題が発生した場合における適切な事後対応 ~最新の裁判例を踏まえて~
2019年12月09日(月)
13:30 ~ 16:30
22,000円(税込)
東京都港区
講師情報
上田 潤一 荻野 聡之
■上田潤一
アンダーソン・毛利・友常法律事務所/パートナー弁護士

01年東京大学法学部卒業
04年弁護士登録
12年米国Vanderbilt University卒業(LL.M.)
13年ニューヨーク州弁護士登録、英国University College London卒業(LL.M.)
労働法、社会保険・労働保険・年金に関連する法律、会社法、個人情報保護法等の法分野に関する業務を中心に、労働案件、一般企業法務の案件、紛争案件等を取り扱っている。
著作に『仕事でよく使う・すぐに応用できるビジネス契約書作成ガイド』(共著)(清文社、2017)、『実務Q&Aシリーズ 懲戒処分・解雇』(共著)(労務行政、2017)等がある。

■荻野聡之
アンダーソン・毛利・友常法律事務所/アソシエイト弁護士

03年東京大学法学部卒業
06年東京大学法科大学院卒業(法務博士(専門職))
08年弁護士登録
労働法、危機管理、事業再生等の法分野に関する業務を中心に取り扱っている。
著作に『企業のための労働実務ガイド1 Q&Aと書式 解雇・退職』(共著)(商事法務、2013)、『労使双方の視点で考える 27のケースから学ぶ労働事件解決の実務』(共著)(日本法令、2015)、『M&Aにおける労働法務DDのポイント』(共著)(商事法務、2017年)等がある。

主催・協力
レクシスネクシス・ジャパン株式会社/ビジネスロー・ジャーナル
働き方改革が進行する近年においても、メンタルヘルスに問題を抱える従業員は、依然として増加傾向にあり、企業においても対応に苦慮する場面が増えています。

メンタルヘルスの問題は長期化するケースも少なくないため、そのようなケースでは、企業は、メンタルヘルスに不調を抱えた従業員に対して、長期間に渡り継続的な対応を行う必要があります。
企業の事後対応も、メンタルヘルスの問題が発覚した時点、休職命令の発令時点、休職期間中、復職時点、労働契約の終了時点における各局面で、それぞれ検討すべき問題が異なります。

また、メンタルヘルスに不調を抱える従業員に対する対応を企業が誤ってしまうと、問題の解決を遅らせるだけではなく、症状の悪化等により問題が深刻化する可能性も否定できません。
そこで、企業としては、メンタルヘルスの問題が発生した場合には、対応を誤らないよう適切に対応することが、問題を長期化、深刻化させないため、特に重要になっています。

本セミナーでは、企業側弁護士としてメンタルヘルス案件の対応経験が豊富な講師が、実務上のノウハウを交えて、企業側で具体的にどのように対応すればよいかの手順を局面ごとに分けて、わかりやすく解説いたします。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
※セミナー広告を掲載したい方は、コチラ

あわせて抑えておきたい関連記事

食品への異物混入に関する法律まとめ... 1.はじめに  神奈川県大磯町が昨年1月から業者が弁当を届けるデリバリー方式の学校給食を町立中学校2校で導入したところ、毛髪などの異物混入が計84件と相次いで発生したため、町議会は、給食の製造業者との契約を解除する方針を決めました。この件以外にも、カップ焼きそばにゴキブリ、フライドポテトにヒト...
公益通報及び内部通報制度まとめ 1.はじめに  最近では不正会計問題やデータ改ざん問題など企業不祥事に関わる報道が相次いだことや、コーポレートガバナンス・コードの要請などもあり、内部通報窓口への注目度はますます高まっています。もっとも、企業不祥事に関する第三者委員会の調査委員会の報告書を読むと、大半の報告書で、不祥事の原因や...
コーポレート・ガバナンスコード(CGコード)ってなに?...  昨年6月より実施されているコーポレート・ガバナンスコード。今月13日に、東京証券取引所より「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2016年7月時点)」が報告されました。改めて、コーポレート・ガバナンスコード(以下、CGコード)の概要を振り返るとともに、上記対応状況について概観し...