マイナンバーに関わる禁止行為・罰則まとめ

はじめに

マイナンバー制度は、個人や法人に番号を割り当てて行政の効率化を図る趣旨の下でスタートしました。行政が効率化すれば、私たちの利便性も向上します。とはいうものの、個人情報が流出する不安は当然あります。そのため、マイナンバー法ではマイナンバーの取扱いについて、禁止行為とその違反への罰則を設けています。そればかりでなく、個人情報保護法に比べ重い罰則が設けられています。それだけマイナンバー流出による個人へのダメージが大きいのです。そのため、個人番号を取り扱う事務を行う方は細心の注意が必要です。そこで、マイナンバーに関わる禁止行為・違反への罰則を確認していきましょう。ちなみに、マイナンバーに関わる禁止行為・罰則はマイナンバー法に記載されています。
マイナンバー法(行政手続における特定の個人をl識別するための番号の利用等に関する法律)
関係法令一覧
個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)
個人情報保護法とは(個人情報保護委員会)

禁止行為・罰則

禁止行為・罰則の内容を列挙したいと思います。罰せられる主体には大きく3つあり、行為の主体によって禁止行為・罰則が異なります。主体に関わりがないもの、事業者の従業員、国の職員によるものです。そこで、以下では事業者を中心に禁止行為・罰則を確認していきます。
PDFファイル:番号法逐条解説(内閣府大臣官房番号制度担当室)
マイナンバー制度における罰則(北区)

マイナンバー制度での規制と罰則は?(TKCグループ)

行為の主体に限定のないもの

まず、行為の主体に限定のないものから見ていきましょう。主体に限定のないは、他人のマイナンバーを悪質な手段により取得する点に焦点を当てるからです。民間事業者の従業員が行った場合は両罰規定の適用を受けます(77条)。すなわち、違反者が属する会社も罰せられる可能性が出てきます。というのは、違反行為が業務として行われるとき、法人自体を罰する規定がなければ違反行為への抑止力として不十分だからです。
●詐欺行為等による情報取得(70条)
欺く行為、暴行、脅迫、窃取、不正アクセス、建造物への侵入により個人番号を取得した場合です。これは、個人番号の取得という場面では、行為態様次第では誰であっても違法性をみとめるものです。刑罰は3年以下の懲役もしくは150万円以下の罰金です。なお、詐欺罪や暴行罪、脅迫罪等の刑事罰の適用もあります。
●通知カード及び個人番号カードの不正取得(75条)
「偽りその他不正な手段」により通知カード、個人番号カードを取得した場合です。70条の適用対象にはないが、「不正」と認められる場合に処罰されます。例えば、他人になりすましてカードを取得する場合が挙げられます。刑罰は6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金です。刑事罰の適用もあります。

民間業務としてマイナンバーを扱う場合

次に民間事業者に関わる禁止行為・罰則について見ていきます。69条の場合を除き、会社も罰せられる可能性があります(77条)。なお、マイナンバーの提供などが業務として認められる場合も当然にあります(提供についての19条等)。以下の行為を行う場合は法律上の根拠を今一度確認することをおすすめします。
●特定個人情報ファイルの不正提供(67条)
従来の個人情報に個人番号が組み合わさったもの(特定個人情報ファイル)を提供した場合です。ここで言うファイルには複製されたものや加工されたものも含まれます。また、紙媒体だけでなく、メールやインターネットでの「提供」も罰せられます。マイナンバー単体での提供に比べ、重い刑罰となっています。具体的には、4年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金です。
●個人番号の不正提供、盗用(68条)
マイナンバーを単体で提供・盗用した場合にも処罰されます。特定個人情報ファイルほど情報は多くありませんが、他の情報とあわせると個人の利益を害するおそれが高いからです。刑罰は3年以下の懲役もしくは150万円以下の罰金です。
●情報提供ネットワークシステムに関する秘密漏えい(69条)
情報ネットワークシステムを運営する事業者(25条参照)の従業員に適用される可能性のある規定です。罰則は3年以下の懲役もしくは150万円以下の罰金です。
●命令違反(73条)
事業者がマイナンバーに関わる法令に反している場合、特定個人情報保護委員会から勧告・命令がなされます(51条)。この委員会による命令に違反した場合に処罰する規定です。刑罰は2年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金です。
●検査忌避等(74条)
特定個人情報保護委員会から報告や資料の提出等を求められることがあります(52条)。この報告等を求められた場合に、検査拒否や虚偽報告等行った場合の罰則です。刑罰は、1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金です。

国の機関の職員の行為

最後に国の機関の職員に関する禁止行為・罰則については、職権を乱用した文書の収集(71条)や特定個人情報保護委員会の委員等による秘密の漏洩(72条)が定められています。国の機関の職員が行う行為には法人の両罰規定はありません(77条)。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約1年1ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
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[著者情報] ishizaki

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略歴:
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2011年 同志社大学法学部法律学科早期卒業
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