下請法について

1.はじめに

公正取引委員会によると、2015年度の下請法違反による取締の指導は過去最多の5980件に及ぶと発表されました。
公正取引委員会指導件数

下請法は、正式には「下請代金支払遅延等防止法」という法律であって、下請取引の公正化や下請業者の利益保護を目的とした法律です。
公正取引委員会下請法

製造業や役務提供といった内容の取引を行う企業間では、「下請けいじめ」という問題が指摘されていました。
これを防止すべく制定されたのが下請法です。
弁護士法人淀屋橋・山上合同

下請法という名の通り、この法律が適用されるのは、親事業事業者と下請事業者との間で問題が起きた場合です。
しかし下請法上、適用となる事業者や取引に関しては、少し複雑です。
そこで今回は、具体的に適用対象となる事業者や取引内容、下請法上の違反行為などについてみていきます。

2.下請法の適用範囲

①適用対象となる取引(下請法2条1項から6項)
まず下請法上、適用の対象となる取引は、物品の製造委託、物品の修理委託、情報成果物の作成委託、役務提供委託の4つです。

②適用対象となる事業者(下請法2条7項から9項)
①で列挙した内容の取引を扱う場合、取引を行う事業者が
・資本金3億円超の親事業者と資本金3億円以下の下請会社
または、
・資本金1000万円超から資本金3億円以下の親事業者と資本金1000万円以下の下請会社
であることが必要となります。必ずこの組み合わせでなくてはならない点に注意してください。
もっとも、次の場合には、情報成果物の内容がコンピュータープログラムや映画、映像番組等以外のものとされます。
・資本金が5000万円超の親事業者と資本金5000万円以下の下請会社
または、
・資本金が1000万円超から5000万円以下の親事業者と資本金1000万円以下の下請会社
このほか、以下のサイトではより詳細に説明がされてますので参考にしてください。
TRENDERSNET

③下請法上における違反行為(下請法4条)
下請法上の違反行為とは、受領拒否の禁止、下請代金支払の遅延の禁止、下請代金の減額の禁止、返品の禁止などです。
公正取引委員会下請法概要

違反行為の具体例について見ていきます。
例えば、次の事例は受領拒否に該当しうるものと考えられます。
「A社(資本金1億円)はソフトウェアの開発会社ですが、自動車をデザインするためのソフト開発の一部をB社(資本金1千億円の自動車メーカー)から受託しています。2年前にB社から受託したソフトを本年4月に完成させ、B社に納品したところ、内容は満たしているが、社内方針が変わったとの理由で採用をしないと通知がきました。」

また、返品の禁止とは次のようなものと考えられます。
「A社(資本金1億円)は、B社(資本金100億円)から製品の部品の製造を受託しています。A社が製造する部品には、B社が全数受け入れ検査を実施するものと、検査が省略されているものと2種類があります。B社は、受入検査では発見できなかった部品の瑕疵について、納品から1年を経過しても返品してきます。また、受入検査を省略しているものについても同様に返品してきます。」

違反行為において多い事案としては「買いたたき」です。
買いたたきとは、発注した内容と同種又は類似の給付の内容に対して通常支払われる
対価に比べて著しく低い額を不当に定めること、定義されています。
公正取引委員会親事業者禁止行為

買いたたきの難しいところは、他の違反行為に比べ「対価が著しく低い」というややあいまいな表現を使っている点です。「この場合は絶対に買いたたきにあたる」と言い切ることは難しいといえます。
法律事務所ミライトパートナーズ・ブログ

買いたたきに当たり得る場合の一例としては、次のようなものが該当しうると考えられます。
「A社(資本金1,000万円)は、B社(資本金1億円)が製造するペットボトルに印刷加工する仕事を受託し、長年継続的に行っています。
今回、B社からの15%の単価の引き下げに対して、A社は7%であれば対応できると提案したものの、15%下げなければ仕事を引き上げると言われ困っています。」

次のような事例もあります。
「運送業者A社(資本金500万円)は、運送業者B社(資本金1億円)から商品の配送を受託していますが、従来1日1便でしたが、今後は1日3便に増やすとの要請を受けました。A社は、従前の代金では対応できないことから、B社に対して、輸送費、人員の増加が必要であるとして、新たに見積書を提出しましたが、A社が求めた値上額の10パーセントほどしか値上げを認めてくれません。」

以上の事例は、全て中小企業庁のホームページに記載されてありますので、同ホームページをご覧ください。
中小企業庁違反行為事例

3.下請法遵守のために

下請法遵守のためには、企業自らがコンプライアンス等に下請法規定の義務を遵守することが重要となってきます。
具体的には、書面交付義務(下請法3条)、書類の作成・保存義務(下請法5条)、
下請代金の支払期日を定める義務(下請法2条の2)、遅延利息の支払義務(下請法4条の2)
という4つの義務があります。親事業者はこれらの義務を守るべく内部規定を定めるといった基本的なことを行っていくことが効果的だと思われます。
公正取引委員会下請法概要

4.最後に

以上見てきましたが、下請法を遵守し、親事業者、下請事業者ともに仕事をしやすい環境を作っていくことが大切です。
企業の事業内容によって下請法の適用の有無はありますが、適用のある企業の皆様は、一度下請法の条文やその外観を見ておくと良いと思います。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約1年10ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
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[著者情報] obara

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■根本 俊太郎
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略歴:
早稲田大学法学部・法科大学院卒業、
コロンビア大学ロースクール(LLM)卒業
2009年12月 弁護士登録
2010年1月~2018年4月
クリフォードチャンス法律事務所 外国法共同事業
2012年6月~2014年2月 三井物産株式会社 法務部(出向)
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略歴:
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静岡県立沼津東高校普通科卒業
2011年 同志社大学法学部法律学科早期卒業
2014年 名古屋大学法科大学院未修コース修了
2015年 弁護士登録(68期愛知県弁護士会)
川上・原法律事務所入所
2017年 オリンピア法律事務所 アソシエイト
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