「18歳成人」成立 法務の対応は

1 はじめに

成人年齢の見直しは、1876(明治9)年の「太政官布告」で満20歳とされて以来、約140年ぶりとなります。新たな「大人」の定義によって、契約や資格の取得などに関する若者の生活をめぐる様々なルールが変わることになります。

2 「大人」の定義の多義性

改正法の付則には、成人年齢の引き下げに伴い年齢要件の見直しが必要な22の法律の改正も盛り込まれました。10年間有効のパスポートを18歳から取得できるようにする旅券法改正や、性同一性障害の人が家庭裁判所に性別変更を申し立てられる年齢を18歳以上とする性同一性障害特例法改正などが含まれています。飲酒や喫煙、公営ギャンブルについては健康被害やギャンブル依存症への懸念から「20歳以上」を維持するため、法律の名前や規定にある「未成年者」を「20歳未満の者」と改めます。

3 改正による影響

 
18歳から親の同意なくローン契約を結んだり、クレジットカードを作ったりできるようになる一方、親の同意のない法律行為を取り消せる「未成年者取消権」は18歳から行使できなくなります。若年層の消費者被害拡大が懸念されるため、今国会では改正消費者契約法も成立しました。来年6月に施行され、不安をあおって商品を売りつける「不安商法」や、恋愛感情につけ込む「デート商法」による不当な契約は取り消せるようになります。ただ、国会審議でも野党などから被害防止策が不十分との声が上がり、参院法務委員会は更なる法整備を政府に求める付帯決議をしました。

参考:若年層成人保護のための消費者契約法による新たな取消権の創設
①不安をあおる告知をした場合の取消権(改正消費者契約法4条3項3号)
例:就活中の学生の不安を知りつつ、「このままでは一生成功しない、この就活セミナーが必要」と告げ勧誘
②恋愛感情等に乗じた人間関係の濫用をした場合の取消権(同法同条同項4号)
例:消費者の恋愛感情を知りつつ、「契約してくれないと関係を続けない」と告げて勧誘

4 法務担当者が把握するべき今後のリスク・展望

このような中、法務担当者がすべきは、改正法施行までに、今回の改正内容・これから成立する新たな若年者保護制度・改正により自社に生じうる問題を情報収集のうえ把握し、施行日までに契約締結の担当者に周知することです。セミナー開催やリーフレットの配布により、若年未成年者を守る法律の内容とそれに抵触しないようにするための注意点を、素人でもわかる簡単な言葉と具体例で示すことがその手段となるでしょう。例えば、ネット通販を手掛けている企業は、商品紹介ページに上記消費者契約法で取り消されるおそれのある若年者の恐怖をあおるような記載をしないようにすることです。対面で消費者と契約を締結する事業を行う企業については、営業担当者が若年者たる消費者に、若年者の不安をあおった、恋愛感情を利用したとの誤解を与えるような交渉しないよう、トークスクリプトを見直すなどの措置が必要となるでしょう。「大人
」年齢引き下げにより、若年成年者保護が図られるのか社会の目が集まる中、若年成年者と不公正な契約をしたという風評被害は企業のブランドイメージに大きなダメージを与えます。
法務担当者は、2022年4月1日の改正法施行までに、新たに成立する若年成年者保護の仕組みを調査・理解し、現場と共有しておくべきでしょう。

関連業務タグ:
関連法律タグ:
 
[著者情報] okada

詳細情報はありません。

※記事コンテンツを掲載したい方は、コチラ

このニュースに関連するセミナー

法務ニュース 契約法務 民法・商法
第99回MSサロン(名古屋会場)
2018年06月20日(水)
19:00 ~ 21:00
2,000円
名古屋市中区丸の内
講師情報
大久保 裕史
弁護士・NY州弁護士

グローバルに展開する大規模法律事務所であるクリフォードチャンス法律事務所において、国際的な企業法務を取り扱い、国内外の企業に法的助言を行う。その間に、国内大手商社法務部への出向やワシントンD.C.での勤務も経験。現在は、オリンピア法律事務所のパートナーとして、主に中部圏の企業の国際取引・海外進出をサポートしている。

略歴:
早稲田大学法学部・法科大学院卒業、
コロンビア大学ロースクール(LLM)卒業
2009年12月 弁護士登録
2010年1月~2018年4月
クリフォードチャンス法律事務所 外国法共同事業
2012年6月~2014年2月 三井物産株式会社 法務部(出向)
2015年9月~2016年7月
クリフォードチャンス・ワシントンD.C.オフィス(出向)
2016年5月 ニューヨーク州弁護士登録
2018年5月~ オリンピア法律事務所 パートナー
セミナー(60分)の後、交流会(60分)を行います。
今回のセミナー内容は、「秘密保持契約 ~ その作成・交渉の実務及び英文となった場合の留意点」です。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
法務ニュース 契約法務 民法・商法
第100回MSサロン(東京会場)
2018年07月06日(金)
19:00 ~ 21:00
2,000円
東京都新宿区
講師情報
岡 伸夫
1992年 京都大学法学部卒業
1994年 大阪弁護士会 登録 梅ケ枝中央法律事務所 
2000年 ハーバードロースクール 修士課程(LL.M)卒業
Masuda Funai Eifert & Mitchell 法律事務所(シカゴ)
2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
「アメリカのP&A取引と連邦預金保険公社の保護 債権管理 No.96」金融財政事情研究会
「米国インターネット法 最新の判例と法律に見る論点」ジェトロ 共著
「Q&A 災害をめぐる法律と税務」新日本法規 共著
セミナー(60分)の後、交流会(60分)を行います。
今回のセミナー内容は、「GDPR施行後の取引実務」です。
申込・詳細はコチラ
法務ニュース 契約法務 民法・商法
【名古屋】人事・労務管理《初めての法務部から不祥事対応まで 基礎セミナー:第4回》
2018年06月20日(水)
14:00 ~ 17:00
10,000円(税込)
名古屋市中区丸の内
講師情報
竹内 千賀子 杉谷 聡
■竹内 千賀子
略歴:
愛知県一宮市出身
愛知県立一宮高校卒業
1998年 名古屋大学法学部法律学科卒業
1998年 一宮市役所入職(2001年3月まで)
2006年 弁護士登録(59期 東京弁護士会)
奧野総合法律事務所入所
2009年 日本証券業協会法務部(出向) 
2013年 せいりん総合法律事務所 パートナー(独立)
愛知県弁護士会に登録換え
2017年 オリンピア法律事務所 パートナー

■杉谷 聡
略歴:
愛知県一宮市出身
愛知県立一宮高等学校卒業
2016年 一橋大学法学部卒業
2017年 弁護士登録(70期 愛知県弁護士会)
オリンピア法律事務所入所
新規配属法務担当者の方・実務対応はしているものの不安がある法務担当者の方などを対象としたセミナーです。第4回目のテーマは人事・労務管理です。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
法務ニュース 契約法務 民法・商法
【名古屋】広告関連法の基礎《法務担当者のための各分野の重要法務セミナー:第5回》
2018年06月22日(金)
15:00 ~ 17:00
2,000円(税込)
名古屋市中区丸の内
講師情報
田代 洋介
略歴:
愛知県名古屋市出身
2010年 静岡大学人文学部法学科卒業
2013年 南山大学法科大学院法務研究科修了
2014年 弁護士登録(67期 愛知県弁護士会)
川上・原法律事務所入所
2017年 オリンピア法律事務所 アソシエイト
各弁護士が日常の実務経験の中でご質問を受けることの多いトピックについてのセミナーです。今回のセミナー内容は広告関連法の基礎です。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
法務ニュース 契約法務 民法・商法
【名古屋】サービス契約《法務担当者のための英文契約セミナー:第4回》
2018年06月27日(水)
15:00 ~ 17:00
8,000円(税込)
名古屋市中区丸の内
講師情報
大久保 裕史
弁護士・NY州弁護士

グローバルに展開する大規模法律事務所であるクリフォードチャンス法律事務所において、国際的な企業法務を取り扱い、国内外の企業に法的助言を行う。その間に、国内大手商社法務部への出向やワシントンD.C.での勤務も経験。現在は、オリンピア法律事務所のパートナーとして、主に中部圏の企業の国際取引・海外進出をサポートしている。

略歴:
早稲田大学法学部・法科大学院卒業、
コロンビア大学ロースクール(LLM)卒業
2009年12月 弁護士登録
2010年1月~2018年4月
クリフォードチャンス法律事務所 外国法共同事業
2012年6月~2014年2月 三井物産株式会社 法務部(出向)
2015年9月~2016年7月
クリフォードチャンス・ワシントンD.C.オフィス(出向)
2016年5月 ニューヨーク州弁護士登録
2018年5月~ オリンピア法律事務所 パートナー
英文契約をこれから担当・現在担当している法務担当者の方などを対象としたセミナーです。第4回目のセミナー内容はサービス契約です。
申込・詳細はコチラ
法務ニュース 契約法務 民法・商法
『企業法務イングリッシュ・コミュニケーション』~企業法務パーソンのための実践英語コミュ力アップ講座!~
2018年07月03日(火)
13:30 ~ 16:00
15,000円(税込)
東京都新宿区
講師情報
登島 和弘
サイネオス・ヘルス合同会社
アジア太平洋地域法務責任者
*7月1日付にてインヴェンティヴ・ヘルス・ジャパン合同会社より社名変更予定

1961年神戸市生まれ
中央大学法学部法律学科卒
立命館大学法務研究科修了
スタンレー電気㈱総務部庶務課法務担当を皮切りに、日本AT&T㈱(米系)契約課長、松下冷機株式会社法務室主事、
セジデム株式会社(仏系)コーポレートサービス部統括部長・法務部長兼任等、を歴任し、現職。
*企業名は当時のまま。
※日本企業・外資系企業双方で通算30年以上の企業法務・国際法務の経験を有する現役の企業法務責任者です。
当社は、東京にて、企業法務パーソン(企業法務担当者・インハウスローヤー等)のためのビジネススクールを運営しています。
企業法務にまつわる「知識」を学ぶ研修・講座は世の中に数多くありますが、当社が運営するリーガルビジネススクール(LBS)は、
法務担当者としての「思考方法」や「仕事術」を学ぶことに焦点を当てています。

今回は、『企業法務イングリッシュ・コミュニケーション』講座を開催いたします。

日本企業・外資系企業を問わず、英語によるコミュニケーションが不可欠な時代。
しかし、残念ながら、企業法務パーソンのみなさんが実際のビジネスシーンで望まれる
適切な英語によるコミュニケーションの取り方にフォーカスした講座はあまりお目にかかりません。

この講座では、現役の外資系企業法務責任者が、ビジネスと企業法務の両方の目線から、
次の日から現場で使える英語による適切な企業法務コミュニケーション術を余すところなくお伝えします。
申込・詳細はコチラ
※セミナー広告を掲載したい方は、コチラ

あわせて抑えておきたい関連記事

中国・青島のジャスコ、11月再開へ 被害額は7億円... 事案の概要 イオンは4日、中国の反日デモで襲撃を受けた「ジャスコ黄島店」(山東省青島)の営業を11月下旬をめどに再開すると発表した。 「ジャスコ黄島店」は、2005年12月に開業した大型ショッピングセンター。 スーパーのジャスコのほか専門店60店が入っており、現地の人々の重要な生活拠点となってい...
立命館一時金訴訟の和解が成立 事案の概要 立命館大学などを運営する学校法人立命館(京都市中京区)が一時金を減額したのは不当であるとして、教職員ら計205人が減額分約3億1000万円の支払いを求めていた訴訟の和解が5月31日、大阪高裁で成立した。内容は立命館側が解決金1億2540万円を支払うというもの。 教職員側は「請求...
派遣社員が通勤費求め提訴、正社員との待遇格差について... はじめに 人材派遣大手「リクルートスタッフィング」(東京都)の元派遣社員の男性が、通勤手当が支払われないのは労働契約法に反し違法であるとして、同社に対し約67万円の損害賠償を求め提訴する方針であることがわかりました。有期労働者と無期労働者で不合理な格差が禁止されております。今回は労働契約法によ...