福井銀行がPFUのe-文書ソリューションを採用、ペーパーレス化について

はじめに

先月13日、株式会社PFUは株式会社福井銀行がPFUの「e文書ソリューション」を採用したと発表しました。IT技術が発達している昨今では、企業でもペーパーレス化が進んでいます。今回は企業における文書の電子化についてみていきます。
文書の電子化・活用ガイド(経済産業省)
【電子化ラボ】e文書法の基本まとめ

関連法令等

●e文書法で書類の電子化が原則可能
従来企業における文書は紙媒体で保存されていましたが2005年のe文書法施行により、法的に保存義務がある文書については原則として電子化保存が可能になりました。e文書法は通則法と整備法からなります。通則法の対象となる法律は約250に及びます。
●e文書法の対象外となる文書
緊急時に即座に見読可能な状態にする必要があるもの、現物を携帯している事が重要な書類、条約による制限があるものはe文書法により電子化が許される書類の対象外であり、従来通り紙による保管が必要です。
●平成27年改正
契約書・領収書等について3万円以上のものについては書面での保存が義務とされていましたが、改正により「3万円未満」のみ電子化が可能という要件が廃止されました。また入力者等の電子署名が不要になりタイムスタンプと入力者情報の確認でよくなるなど大幅な改正がありました。
●平成28年改正
従来までは固定型スキャナでの電子化のみが可能でした。平成28年改正ではデジカメやスマホでの読み取りが可能になりました。
紙文書保存の規制を緩和するe-文書法
民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成16年法律第149号)
民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成16年法律第150号)

電子化のメリット

●時間の節約
紙媒体にまつわる面倒な手間を省くことで迅速な契約締結が可能になり、特に海外企業とのやり取りでは大きな効力を発揮します。また、検索性に優れ、編集が容易なことから作業時間の短縮には大きな効果を発揮します。
●保管コストの節約
紙媒体の資料では物理的なスペースを確保せざるを得ません。保管スペースの確保自体にお金がかかることもあるでしょうし、文書の検索・運搬・廃棄といった場面でもコストがかかります。文書の電子化によりこのようなコスト削減できます。
●印紙代の節約
印紙税法上、印紙税は「文書」に対して課される税金です。そのため、電子メールやFAXなどの電子データで送付された「電子契約書」には課税されません。課税文書を用いた契約(請負契約や不動産売買契約など)においては、電子化により大きな節税効果が期待できます。
●企業の競争力向上
電子化によるコスト削減・業務の効率化は、顧客満足度の向上や生産性の向上にもつながります。これらは、結局企業の競争力の向上につながります。
●クラウド化によるメリット
紙媒体での文書保存には災害や不手際による書類紛失のリスクが有りました。電子化に加えてクラウドシステムなどを利用して、外部サーバーに保存をしておけばそういった書類紛失のリスクは減るでしょう。ただし、セキュリティや機密性の保持のためには慎重にシステムを選択することが必要でしょう。
文書の電子化によるメリット

企業に保存が義務付けられた文書

会社が扱う文書のうち、法令等によって保存が義務付けられている文書が何なのかを判断する必要があります。それは、e-文書法に関連する約250の法令と各省令などです。電子化を行う際には自社の業種・文書の性質を考慮して、文書が関連法令のどの条文によって保存義務が認められる文書であるのかを判断する必要があります。企業に保存が義務付けらた文書は「共通文書」と「業種別文書」に大別されます。
●共通文書
共通文書は、商法や税法などが規定する全ての企業に対して共通して保存が義務付けられた文書です。例えば、会計帳簿、証憑書類(相手方から受け取った見積書、注文書、契約の申込書、送り状、納品書、検収書、請求書、契約書・領収書の一部等。自己の作成したこれらの書類の写し)、営業報告書、財産目録、付属明細書、議決権行使所、取締役会議事録、定款などです。証憑書類や議決権行使書は多数の人が紙を通じた意思表示をするという特性があるので電子化の必要性が高いといえます。
●業種別文書
業種別文書は特定の業種で固有の法律規定により企業に保存が義務付けられている文書です。
電子化が可能な代表的な文書

電子化の際の要件の確認

書類の電子化をするためには各省令が定める要件を満たす必要があります。基本的要件として、見読性、完全性、機密性、検索性を満たすことが必要になります。最も基本となるのが見読性であり、見読性のみ満たせば足りる文書から4つの要件を全て満たす必要がある場合まで、求められる要件は文書によってそれぞれです。また、各省令が定めている要件は、省令の元になる法令の目的・趣旨などに応じて、個別に定められたものです。そのため、保存のための具体的な措置や保存年数などの規定は各種法令の規定で異なっている場合があるので注意が必要です。
●見読性
電子化した文書はデータそのものは目には見えません。そのため、必要なときには人の目で見れる状態を整えておく必要があります。PCやディスプレイに表示させたり、プリンタで印刷したりといった方法での確認が多いでしょう。例えば、出力により判別できる程度の解像度に設定しておくことが見読性要件充足には必要です。経済産業省では、カラーで読み取る際には256階調で150dpi以上といった目安を提示しています。
●完全性
電子化文書には改竄か複製のリスクが懸念されます。そのため、改竄・消去の防止措置と改竄・消去等があった場合の確認措置の確保が完全性の内容です。
●機密性
機密性要件は、電子化文書に記録された事項へのアクセスを許されない者からのアクセスを抑制する措置を講じていることと定義されています。改竄・消失を防止するという完全性を保つためには他者からのアクセスを防止していく管理システムが必要です。そのための措置を機密性要件として求めています。
●検索性
検索性とは、電子化文書に記録された事項について必要な程度で検索することのできるよう、事項を体系的に校正する措置を講ずること、と定義されます。当然のことながら、文書は見ることを前提としています。そのため、実際に必要なときに閲覧できる状態であることが、見読性の要件として求められました。しかし、閲覧の以前に閲覧したい書類を発見できなければなりません。そのため、必要なときに文書を瞬時に抽出できるようにしておくというのが検索性の内容です。企業は、ファイル名、契約日時、といったインデックスで検索できるようなシステムを整備しておく必要があります。
満たすべき基本要件を理解する

関連業務タグ:
関連法律タグ:
 
[著者情報] ishizaki

詳細情報はありません。

このニュースに関連するセミナー

法務ニュース 契約法務 法改正
第88回MSサロン(東京会場)
2017年09月26日(火)
19:00 ~ 21:00
2,000円
東京都新宿区
講師情報
田中 誠
キリンホールディングス株式会社グループ法務担当主幹
兼キリン株式会社法務部主幹

1985年3月 中央大学法学部法律学科 卒業
1985年4月 麒麟麦酒株式会社(現キリンホールディングス㈱)入社
1990年10月~2004年3月 同社総務部法務課2004年4月~2012年4月 同社不動産事業部門配属後、同社不動産関連子会社に出向
2012年4月 キリンホールディングス株式会社グループ法務担当 兼 キリン株式会社法務部に異動、現在に至る
セミナー(60分)の後、交流会(60分)を行います。
今回のセミナー内容は、 「上場会社株主総会の最近の実務」です。
申込・詳細はコチラ
法務ニュース 契約法務 法改正
第87回MSサロン(名古屋会場)
2017年09月13日(水)
19:00 ~ 21:00
2,000円
名古屋市中区丸の内
講師情報
和田圭介
愛知県春日井市出身
京都大学法学部・Duke大学LLM卒業。
2005年弁護士登録。
2013年ニューヨーク州弁護士登録。
世界最大規模の国際法律事務所であるクリフォードチャンス法律事務所を経て、
2015年、IBS法律事務所を開設。
国内外の企業法務案件を主に扱っており、国際取引・英文契約を得意としている。
大手総合商社・外資系企業の法務部への出向経験があるため、企業法務の現場の問題意識にも通じている。
セミナー(60分)の後、交流会(60分)を行います。
今回のセミナー内容は、 「製造業のための民法(債権法)改正実務対応」です。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
法務ニュース 契約法務 法改正
第86回MSサロン(大阪会場)
2017年09月06日(水)
19:00 ~ 21:00
2,000円
大阪府大阪市北区
講師情報
溝上絢子
2004(平成16)年10月
大阪弁護士会に弁護士登録、なにわ共同事務所入所

2008(平成20)年4月~2011(平成23)年9月
大阪大学高等司法研究科(ロー スクール) 非常勤講師
セミナー(60分)の後、交流会(60分)を行います。
今回のセミナー内容は、 「取引基本契約を締結する際の下請法をめぐる留意点」です。
詳細はコチラ (申込は、終了しています。)
契約法務 法改正
《緊急セミナー》改正債権法に基づく契約書作成実務
2017年10月13日(金)
14:30 ~ 17:30
15,000円(資料代・消費税を含む)
東京都品川区北品川
講師情報
滝川 宜信
(行政書士滝川ビジネス契約コンサルティング代表〔特定行政書士〕・明治学院大学非常勤講師)
◆中央大学大学院法学研究科博士後期課程中退
◆㈱デンソー法務部課長~部長および名古屋大学大学院法学研究科客員教授、明治学院大学法科大学院教授(会社法・商法担当)、株式会社トーカン顧問を歴任。
・この間、中部経済連合会法規委員会専門委員長、経団連経済法規委員会企画部会委員・消費者部会委員、名古屋工業大学・名城大学法学部・中京大学法学部・南山大学法学部・法科大学院の非常勤講師を歴任。
◆日本私法学会会員、金融法学会会員
◆主な著書
『取引基本契約書の作成と審査の実務(第5版)』(単著・㈱民事法研究会)、『実践企業法務入門(第5版)』(単著・㈱民事法研究会)、『業務委託(アウトソーシング)契約書の作成と審査の実務』(単著・㈱民事法研究会)、『M&A・アライアンス契約書の作成と審査の実務』(単著・㈱民事法研究会)
『内部統制対応版企業コンプライアンス態勢のすべて〔新訂版〕』(共著・きんざい)、『リーディング会社法〔第2版〕』(単著・㈱民事法研究会)、『企業法務戦略』(共著・㈱中央経済社)、『社外取締役のすべて』(共著・東洋経済新聞社)など
改正民法施行は、2020年1月または4月と見込まれていますが、今から契約書の準備をすることが必要です。
本セミナーでは、『取引基本契約書の作成と審査の実務』など契約書の審査と実務シリーズ(民事法研究会・刊)の著者が、企業法務の担当者を対象に、直接、わかり易く丁寧に解説します。
滝川宜信・著『業務委託(アウトソーシング)契約書の作成と審査の実務』(民事法研究会・刊)に掲載の請負契約書ひな型・委任契約書ひな型に基づき具体的に条文の変更例を示し解説します。
※変更例および主旨は、他の契約にも応用が可能です。
※本セミナーは、本年7月19日に、名古屋・愛知県弁護士会ホールで行った内容と基本的に同じです。
申込・詳細はコチラ

あわせて抑えておきたい関連記事

フィンテック、銀行参入の規制緩和と今後... 1.銀行業への規制緩和  今月13日、金融庁は銀行による、フィンテックを手がける企業の買収を可能とするよう規制緩和に踏み出し、同月中に銀行法等の関連法案の改正案を取りまとめる方針を発表した。  ITを利用した新しい形での金融サービスについては国内法では規制が無く、既存のモデルでは適応出来ず、かねて...
消費増税を巡る議員と市場の思惑 事案の概要 消費増税法案など一体改革関連法案は21日に、衆議院特別委員会でようやく与野党論戦が始まった。3月末の法案提出からすでに50日以上が経過し、国会会期末まで1カ月。最重要法案の審議がここまで遅れるのは異例である。25日以降の審議日程も固まっておらず、法案の行方は全く見通せない。 審議の遅...
公正取引委員会、セブンイレブンを下請法違反により是正勧告 ... 公正取引委員会は、セブン-イレブン・ジャパンに対し、下請法4条2項3号の下請代金の減額の禁止の規定に違反する行為が認められたので、先月21日、同法第7条第2項の規定に基づき、同社に対し勧告を行いました。 1 違反の事実  セブン-イレブン・ジャパンは、おにぎりやサンドイッチなどの「デイリー...