------どうなる会社法改正の行方------

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概要

 政府は臨時国会に会社法改正案を提出する予定である。その内容は、法制審議会会社法制部会が昨年9月に法務大臣に答申した、会社法制の見直しに関する要綱(以下、改正要綱という)の内容を踏襲したものであると考えられる。改正要綱の全容は法務省のウェブサイトにおいて閲覧できるが、細かい事項も含まれるので、特に重要と思われるものについて紹介する。

 改正要綱は、(1)企業統治のあり方(改正要綱第一部)、(2)親子会社に関する規律(改正要綱第二部)、(3)その他(改正要綱第三部)から構成されている。

・監査・監督委員会設置会社制度(仮称)
 
 株式会社の機関設計として、「監査・監督委員会設置会社(仮称)」を新設する。機関設計のイメージとしては、監査役会設置会社と委員会設置会社の中間的なものになるだろう。
 ①監査・監督委員会設置会社には、取締役会及び会計監査人を置かなければならないものとする。
 ②監査・監督委員会設置会社は、監査役を置いてはならないものとする。
 ③委員会設置会社は、監査・監督委員会を置いてはならないものとする。

・社外取締役・社外監査役に関する規律

 社外取締役の義務付けについては、改正要綱では見送られた。ただし、監査役会設置会社(公開会社であり、かつ、大会社であるものに限る。)のうち、金融商品取引法第24条第1項の規定によりその発行する株式について有価証券報告書を提出しなければならない株式会社において、社外取締役が存しない場合には、社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告の内容とするものとする、とされた。

・多重代表訴訟

 株式会社の最終完全親会社の総株主の議決権の100分の1以上の議決権又は当該最終完全親会社の発行済株式の100分の1以上の数の株式を有する株主は、当該株式会社に対し、発起人、設立時取締役、設立時監査役、取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人又は清算人の責任を追及する訴えの提起を請求することができるものとする、とされた。

コメント

 社外取締役を置くことが相当でない理由を事業報告の内容とする、という意味が、社外取締役を置くことが相当でない理由というのが何であるのかということを各社の事情に応じて説明する必要があるという趣旨だとすると、その記載は簡単ではないだろう。また、社外取締役等の要件の厳格化は、新たに要件を満たす適切な候補者を探し、選任をするという手続が必要になるなど、実務に大きな影響を与えることになる。施行まで十分な期間を置くとともに、移行に当たり十分な経過措置を設けるなどの配慮が必要になるだろう。

 また、多重代表訴訟の導入により、該当する中小・中堅企業において、親族間の争いが多重代表訴訟という形で企業に持ち込まれる可能性がある。こうした懸念を少しでも払拭できるように、例えば担保提供制度等について、立法上、しっかりとした濫訴防止措置とすると同時に、国民や企業にとって十分かつ丁寧な説明が必要であると考えられる。

関連サイト

会社法制の見直しに関する要綱 

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約4年10ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
 
[著者情報] g.k

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2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
「アメリカのP&A取引と連邦預金保険公社の保護 債権管理 No.96」金融財政事情研究会
「米国インターネット法 最新の判例と法律に見る論点」ジェトロ 共著
「Q&A 災害をめぐる法律と税務」新日本法規 共著
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