特定商取引法に改正の動き

はじめに

 悪徳業者による高齢者宅等への訪問販売、訪問購入の被害が増加の一途をたどっている昨今、消費者庁は特定商取引法を改正し規制の強化に乗り出す方針を固めました。金相場が高騰し、訪問購入被害対策として成立した平成24年改正が記憶に新しいことと思いますが、今回の改正案は違法と知った上でなお悪徳商法を継続する業者への対策に主眼が置かれているようです。改正案の主な点について見ていきたいと思います。

主な改正のポイント

(1)罰則強化
 虚偽の説明をして契約を迫る等の不当勧誘行為に対する罰金刑を300万円以下から1億円以下に大幅に引き上げること。また立入検査を拒否した者に対しては懲役刑を科すことが盛り込まれています。これまでの改正でも効果の薄かった悪徳業者に対して、厳罰化をもって対抗しようというわけです。不当違法な勧誘行為によって得た利益が悪徳業者のもとに残らないように剥奪するという意味合いもあるようです。

(2)業務禁止命令新設
 従来までの業務停止命令では、業者は新会社を設立するなど社名を変えて違法行為を繰り返していました。それに対抗する手段として業務禁止命令を新設する方針です。業務禁止命令を受けた業者は、これに従わない場合には3億円以下の罰金が課され、業務停止期間も現行の1年から2年に延長されるようです。

(3)代金返還を命じる措置
 現行法では、不当勧誘業者に対し国や自治体が「必要な措置」を指示できるという規定があります。これに加え代金を消費者に返還する等の被害回復措置を命じることができるよう規定を盛り込む方針です。これにより、国や自治体は悪徳業者に返還計画を作成させ、誠実に履行がなされているかを監視監督することができ、従わない場合は6ヶ月以下の懲役又は100万円以下の罰金を科すことができるというものです。

コメント

 特定商取引法は悪徳業者による新たな被害態様が発生するたびに、後追い的に規制を強化してきましたが、これまでの規制強化では功を奏さないことに業を煮やした消費者庁が大幅な規制強化に乗り出したものと言えます。今回の改正案で一番目立つのが罰則の強化です。現行法では行政からの指示違反、検査拒否に対しては100万円以下の罰金しか定められておりません。しかし改正案では、そうした罰金しか定められていない罰則に懲役を追加し、もともと懲役が定められていた業務停止命令違反についても、2年から3年に引き上げるといった、個人の身体に対する罰則を強化しています。また法人である業者自体に対しては罰金の額が300万円から1億円に大幅に増額されています。多少の懲役刑をうけてでも利益を残そうという悪徳業者から利益を剥奪し、違法行為へのインセンティブを無くそうという趣旨だと考えられます。また被害者の現実的な救済を確保するために、被害者からの訴訟提起を待たずに能動的に行政が回復措置を講じれるように考えられています。被害額に対して訴訟負担が大きい人、そもそも被害に気づいていない人の被害回復を促進することが狙いです。これらの改正によって現行法下より悪徳商法が行いにくくなることは確実ではないかと思われます。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約3年3ヶ月前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
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[著者情報] mhayashi

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東京都港区
講師情報
講師一覧
■淵邊 善彦(ベンチャーラボ法律事務所 代表弁護士)

1987年東京大学法学部卒業。
89年弁護士登録。
95年ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業。
00年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画。
08年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)。
16年より18年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授。
19年ベンチャーラボ法律事務所開設。
主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『AI・IoT時代の企業法務 』(共著)、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。


■柴野 相雄(TMI総合法律事務所 パートナー弁護士)

02年弁護士登録。
10年ワシントン大学ロースクール(知的財産法コース)卒業(LL.M.)、同年サンフランシスコのモルガン・ルイス&バッキアス法律事務所勤務。
16年慶應義塾大学法科大学院非常勤教員就任(知的財産法務WP)、19年ISO/PC 317(Consumer protection: privacy by design for consumer goods and services)国内審議委員就任。
主にIT、インターネット、広告、メディア、エンタテインメントビジネスに関する法分野の裁判、仲裁および法律相談を多く扱う。

『IoT・AIビジネスに関するデータ保護と独禁法上の留意点』(Business Law Journal、18年4~6月号)、『[座談会]AIの活用と今後の労務管理上の課題』(労務事情、18年1月合併号)など著書多数。


■白石 和泰(TMI総合法律事務所 パートナー弁護士)

98年司法書士試験合格。
03年弁護士登録。
13年ワシントン大学ロースクール卒業(LL.M.)。
13~14年Dorsey & Whitney LLPおよびBracewell LLPで研修。
14~15年外務省経済局政策課専門員。
第二東京弁護士会情報公開・個人情報保護委員会委員、情報ネットワーク法学会会員。全銀協オープンAPI推進研究会元メンバー。無人航空従事者試験(ドローン検定)1級。

『AI・ロボットの法律実務Q&A』(勁草書房、19年2月)、『個人情報管理ハンドブック〔第4版〕』(商事法務、18年3月)、「Japan chapter of Getting The Deal Through」(Cybersecurity)(18年1月号)など編著書多数。


■阿部 豊隆(TMI総合法律事務所 パートナー弁理士・カリフォルニア州弁護士)

96年弁理士登録。
国内及び海外における特許出願、ライセンスや特許売買等のトランザクションや侵害訴訟、包括的な知財戦略支援等に従事。電気情報や機械制御等の技術を主に扱う。
97年より創英国際特許法律事務所勤務、04年ワシントンDC地区のオリフ法律事務所に駐在。
翌年、創英の米国オフィスをシリコンバレーに開設。07年米マイクロソフト本社知的財産部に入社。
11年アジア地区特許ディレクター兼日本マイクロソフトの知的財産部長に就任。14年TMI総合法律事務所入所。出版、講演多数。

主催・協力
レクシスネクシス・ジャパン株式会社/ビジネスロー・ジャーナル
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本セミナーでは、AI、IoTをめぐる現状の動向、ユースケースを紹介しながら、それぞれのケースにおける法務論点について解説し、パネルディスカッションにおいて、いくつかの興味深い論点に関しより具体的に深堀りして参ります。

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石川 智也
西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士

2005年東京大学法学部第一類卒業
2006年弁護士登録(第一東京弁護士会)
2015年バージニア大学ロースクール卒業(LL.M.)
2016年Max Planck Institute for Innovation and Competitionにある
ミュンヘン知的財産法センター修了(LL.M.)、同年Noerr法律事務所ミュンヘンオフィス勤務
2017年米国ニューヨーク州弁護士登録

日本における知的財産法、営業秘密保護、個人情報保護法のほか、
EUにおける知的財産制度・競争法、EUデータ保護規則をはじめとする
グローバルベースでのデータ規制についても詳しい。

主催
レクシスネクシス・ジャパン株式会社/ビジネスロー・ジャーナル
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講師情報
吉川 達夫
ニューヨーク州弁護士/外資系企業 VP, General Counsel

外資系法務本部長、駒澤大学法科大学院、国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師
元Apple Japan法務本部長、元伊藤忠商事法務部、元Temple Law School日本校客員教授。上智大学法学部、Georgetown Univ. Law Center卒

編著:『ライセンス契約のすべて 実務応用編』(編著、第一法規、2018年)、『ライセンス契約のすべて 基礎編』(編著、第一法規、2018年)、『ダウンロードできる 英文契約書の作成実務』(編著、中央経済社、2018年)など、著作・論文多数

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※当日は国際ビジネス法務(第2版)(第一法規株式会社/2018年3月発売 /2,800円+税)を教科書として使用します。
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講師情報
畑中鐵丸
弁護士(東京弁護士会所属)
ニューヨーク州弁護士
税理士、弁理士

1991年 東京大学法学部在学中、国家公務員試験I種・司法試験に各合格
1992年 東京大学法学部卒業後、新日本製鐵株式会社入社
1996年 弁護士登録
1996年~1998年 国内中堅法律事務所において、企業法務・商事紛争のほか、一般民事・家事・刑事事件、特殊事件(企業再建・著作権・芸能エンターテインメント関連事案・労働事件・民事介入暴力事件等)等の国内法務案件を幅広く取り扱う
1998年 渡米し、ペンシルヴァニア大学ロースクール(米国フィラデルフィア市)にて、企業法、投資規制法、企業コンプライアンスプログラム、財務会計論等を学ぶ
1999年 同大学法学修士課程(LL.M.)卒業 同年米国ニューヨーク州司法試験 合格
1999年~2000年 Kirkland & Ellis 法律事務所(米国シカゴ市)に勤務し、企業法務、M&A、国際合弁、ライセンス契約、コンプライアンス法務等を担当
2001年 中島・宮本・畑中法律事務所(現名称:中島・宮本・溝口法律事務所)にパートナー弁護士(共同経営者)として参画
2006年 弁護士法人畑中鐵丸法律事務所を設立

「こんな法務じゃ会社がつぶれる」(第一法規、2010)、「こんな法務じゃ会社があぶない」(第一法規、2016)「企業法務バイブル[第2版]」(弘文堂、2013)等著書多数
企業法務バイブル、企業法務大百科の著者で著名な畑中鐵丸弁護士に、企業法務の仕事の体系・全体像の解説と、具体的な仕事の進め方や、スマート化・スピード化のためのテクニックを解説いただきます。セミナー(2時間)の後、懇親会(1時間)を行います。
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23,000円(税別)
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講師情報
永井徳人
光和総合法律事務所 弁護士

東京大学法学部卒業後、NTTコミュニケーションズ入社。
同社在職中に、法科大学院の夜間コースに通学、2007年に弁護士登録。
2010~2012年の2年間、任期付公務員として総務省総合通信基盤局にて勤務。
電波法に基づく新制度について、法改正の他、税務面の調査等も担当し、国税庁との協議等に携わる。
任期満了後、光和総合法律事務所にパートナーとして復職、ビジネス・行政の視点も踏まえた幅広いリーガル・サポートを提供している。

近著に『ベーシック企業法務事典』(編著)、『税務コンプライアンスのための企業法務戦略』(共著)、『データ戦力と法律』(編著)他多数。

主催
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契約スキームの選択や契約書上の表現だけでも、税額に大きな影響を与えることがあります。こうしたポイントは、税務・法務の両方の観点がないとなかなかチェックできません。しかし、「税務は専門外なので分からない」、「税務を勉強しようにも膨大過ぎてとても時間が取れない」といった理由で、税務を敬遠している法務担当者の方も、多いと思います。

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