株主総会招集手続きと通知事項について

はじめに

 日産自動車は8日、臨時株主総会を開き、刑事事件で捜査・公判が進むカルロス・ゴーン元会長を取締役から解任しました。出席株主は4000人以上とのことです。今回は株主総会の招集手続きと招集通知について見直します。

株主総会招集手続き

(1)招集権者
 株主総会の招集は原則として取締役が行います(会社法296条3項)。取締役会設置会社の場合は取締役会決議が必要です(298条4項)。また総株主の議決権の3%を保有する株主も取締役に招集を請求することができます(297条1項)。この議決権については公開会社では6ヶ月以上保有している必要があります。請求後遅滞なく招集手続きが行われない場合、請求の日から8週間居ないの日を開催日とする招集通知が発せられない場合は裁判所の許可を得て株主自ら招集することができます(同4項)。

(2)招集通知期間
 招集通知は株主総会の開催日の2週間前までに発信する必要があります(299条1項)。この2週間という期間は発信日と開催日を算入せずに14日あける必要があります。たとえば4月17日に開催するのであれば4月2日までに発信する必要があります。非公開会社の場合は1週間前までとなりますが、書面・電子投票を採用する場合はやはり2週間となります。

(3)通知方法
 取締役会設置会社である場合と書面・電子投票を採用する場合には招集通知は書面で行う必要があります(299条2項)。それ以外の場合、つまり非公開会社で書面・電子投票を行わない場合は通知方法に制限はなく、口頭や電話、電子メールなどで通知を行うことも可能です。

(4)通知事項
 招集通知を書面等で行う必要がある場合には次の事項を記載する必要があります(299条4項)。①株主総会の日時場所、②議題、③書面投票・電子投票ができる場合はその旨、④議題が役員選解任、報酬、定款変更、組織再編等の重要事項である場合はその議案の要項を記載することになります。

招集手続きに不備がある場合

 上記招集手続きに不備がある場合は株主総会決議取消の訴えの対象となります(831条1項1号)。しかし書面・電子投票を行う場合を除き、株主全員の同意がある場合は招集手続きを省略することができます(300条)。また株主全員が出席し株主総会の権限に属する事項につき決議を行った場合には手続きに不備があっても決議は有効とされております(最判昭和60年12月20日)。

通知事項と決議事項の注意点

 取締役会設置会社では原則として招集通知に記載された事項しか決議することができません(309条5項)。たとえば招集通知には取締役1名選任と記載されていた場合、株主総会で取締役複数を選任すると決議取消事由となります。取締役を複数選任する場合は累積投票請求ができ、その手続を保障する必要があるからです。なお監査役の場合は可能と解されております。また選任の件とだけ記載されている場合に解任を行うことも取消事由となると言われております。

コメント

 以上のように株主総会の招集手続きは公開会社か非公開会社か、取締役会設置会社かそうでないかで相当異なってきます。公開会社の場合は取締役会が設置されており、株主数も相当な数に上ることとなります。手続きの不備は株主による取消訴訟に発展する危険が高いと言えます。一方で小規模な非公開会社の場合、株主は普段から会社の運営に参画しており招集手続きも簡易なものでよく、決議事項もあらゆるものに及びます。また全員の同意も得やすく手続きの不備は治癒されやすいと考えられます。このように会社の規模によって株主総会の性質は相当異なってきます。これからの定時総会や臨時総会に備え、自社にはどのような手続きが必要となるのかを予め確認しておくことが重要と言えるでしょう。

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95年ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業。
00年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画。
08年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)。
16年より18年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授。
19年ベンチャーラボ法律事務所開設。
主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

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10年ワシントン大学ロースクール(知的財産法コース)卒業(LL.M.)、同年サンフランシスコのモルガン・ルイス&バッキアス法律事務所勤務。
16年慶應義塾大学法科大学院非常勤教員就任(知的財産法務WP)、19年ISO/PC 317(Consumer protection: privacy by design for consumer goods and services)国内審議委員就任。
主にIT、インターネット、広告、メディア、エンタテインメントビジネスに関する法分野の裁判、仲裁および法律相談を多く扱う。

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外資系法務本部長、駒澤大学法科大学院、国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師
元Apple Japan法務本部長、元伊藤忠商事法務部、元Temple Law School日本校客員教授。上智大学法学部、Georgetown Univ. Law Center卒

編著:『ライセンス契約のすべて 実務応用編』(編著、第一法規、2018年)、『ライセンス契約のすべて 基礎編』(編著、第一法規、2018年)、『ダウンロードできる 英文契約書の作成実務』(編著、中央経済社、2018年)など、著作・論文多数

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弁護士(東京弁護士会所属)
ニューヨーク州弁護士
税理士、弁理士

1991年 東京大学法学部在学中、国家公務員試験I種・司法試験に各合格
1992年 東京大学法学部卒業後、新日本製鐵株式会社入社
1996年 弁護士登録
1996年~1998年 国内中堅法律事務所において、企業法務・商事紛争のほか、一般民事・家事・刑事事件、特殊事件(企業再建・著作権・芸能エンターテインメント関連事案・労働事件・民事介入暴力事件等)等の国内法務案件を幅広く取り扱う
1998年 渡米し、ペンシルヴァニア大学ロースクール(米国フィラデルフィア市)にて、企業法、投資規制法、企業コンプライアンスプログラム、財務会計論等を学ぶ
1999年 同大学法学修士課程(LL.M.)卒業 同年米国ニューヨーク州司法試験 合格
1999年~2000年 Kirkland & Ellis 法律事務所(米国シカゴ市)に勤務し、企業法務、M&A、国際合弁、ライセンス契約、コンプライアンス法務等を担当
2001年 中島・宮本・畑中法律事務所(現名称:中島・宮本・溝口法律事務所)にパートナー弁護士(共同経営者)として参画
2006年 弁護士法人畑中鐵丸法律事務所を設立

「こんな法務じゃ会社がつぶれる」(第一法規、2010)、「こんな法務じゃ会社があぶない」(第一法規、2016)「企業法務バイブル[第2版]」(弘文堂、2013)等著書多数
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光和総合法律事務所 弁護士

東京大学法学部卒業後、NTTコミュニケーションズ入社。
同社在職中に、法科大学院の夜間コースに通学、2007年に弁護士登録。
2010~2012年の2年間、任期付公務員として総務省総合通信基盤局にて勤務。
電波法に基づく新制度について、法改正の他、税務面の調査等も担当し、国税庁との協議等に携わる。
任期満了後、光和総合法律事務所にパートナーとして復職、ビジネス・行政の視点も踏まえた幅広いリーガル・サポートを提供している。

近著に『ベーシック企業法務事典』(編著)、『税務コンプライアンスのための企業法務戦略』(共著)、『データ戦力と法律』(編著)他多数。

主催
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