LIXILグループが代表執行役交代を発表、臨時報告書について

はじめに

 LIXILグループは1日、代表執行役等の交代人事の臨時報告書を提出し、その旨発表しました。取締役兼取締役会議長の潮田氏が代表執行役兼CEOに就任するとのことです。今回は金融商品取引法が提出を義務付けている臨時報告書について見ていきます。

事案の概要

 報道などによりますと、東京証券取引所と名古屋証券取引所に上場しているLIXILは11月1日付の発表で代表執行役であった瀬戸氏が代表執行役から退任し、取締役会議長兼指名委員であった潮田氏と社外取締役であった山梨氏が新たに代表執行役兼CEOに就任する人事を公表しました。瀬戸氏は来年4月1日で取締役となった後、6月の定時総会終了時に退任する予定とのことです。

金商法と有価証券報告書

 金融商品取引法によりますと、金融商品取引所に上場している有価証券、店頭登録されている有価証券、所有者数が1000人以上の株券、優先出資証券、所有者数500人以上のみなし有価証券等の発行者は原則として事業年度ごとに有価証券報告書の提出が義務付けられます(24条1項各号)。また有価証券報告書に類するものとして四半期報告書というものも存在します。これは有価証券報告書提出会社のうち、事業年度が3ヶ月を超える場合に、3ヶ月ごとに区分した各期間で、その期間の末日から45日以内に提出が義務付けられるものです。そして臨時報告書とはこれらの報告書を提出した後に法定の重要事項が生じた場合、適時情報を開示することによって投資家保護を図る目的で提出が義務付けられるものを言います。

臨時報告書の提出義務

 金商法24条の5および企業内容等の開示に関する内閣府令19条では有価証券報告書提出会社が臨時報告書の提出を義務付けられる場合をかなり詳細に規定しております。具体的には外国で有価証券を募集する場合、募集によらないで有価証券を発行する場合、募集を要しないストックオプションを発行する場合、主要株主の異動がある場合、訴訟が提起された場合、合併分割等の組織再編があった場合、代表取締役等の異動があった場合、会計監査人等の異動があった場合、破産手続開始申立があった場合などが挙げられております。また連結子会社でこれらの事由が生じた場合も同様です。提出された臨時報告書は1年間縦覧に供されることになります。また虚偽記載があった場合は罰則として5年以下の懲役、500万円以下の罰金またはこれらの併科となります(197条の2)。

適時開示制度

 同様の規定が東証の有価証券上場規程402条と施行規則に定められております。こちらは会社情報の適時開示制度と呼ばれ、一定の事由が生じた場合に直ちに開示することが求められております。開示事由は臨時報告書のものに加え、かなり詳細で広範なものとなっております。具体的には株式等の発行、資本金減少、自己株式取得、株式無償割当て、剰余金配当、事業譲渡、新製品の企業化、固定資産の譲渡やリース、上場廃止申請、人員削減、定款変更、債権取り立て不能、手形不渡りなど多岐に渡ります。開示の時期についても臨時報告書の場合は「遅滞なく」となっているところ、適時開示制度は「直ちに」となっており、より緊急性を要します。

コメント

 本件でLIXILは代表執行役1人が退任し、新たに2人の代表執行役が就任しました。東京証券取引所と名古屋証券取引所に上場していることから同社は有価証券報告書提出会社に該当します。また代表執行役の異動が生じていることから臨時報告書の提出事由にも該当することになります。また同時に適時開示の対象にも該当していると言えます。このように上場会社等、金商法の規定が適用される場合は会社法の計算書類等よりも詳細で頻度の高い報告書が求められております。また罰則等も設けられております。それだけ投資家や証券取引への信頼保護を重視しているものと言えます。どのような場合にどのような書類提出が必要かを正確に把握しておくことが重要と言えるでしょう。

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[著者情報] mhayashi

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編著:『ライセンス契約のすべて 実務応用編』(編著、第一法規、2018年),『ライセンス契約のすべて 基礎編』(編著、第一法規、2018年),『ダウンロードできる 英文契約書の作成実務』(編著、中央経済社、2018年)など,著作・論文多数


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