キリン堂に措置命令、処分例から見る「優良誤認」

はじめに

消費者庁は4日、サプリメントを飲むだけで痩せられると宣伝して販売していた「キリン堂」(大阪市)に対し景表法違反で措置命令を出していたことがわかりました。提出された資料からは痩身効果の根拠が認められなかったとのことです。今回はサプリメント等の優良誤認を処分例から見ていきます。

事案の概要

公正取引委員会の発表によりますと、ドラッグストアを運営するキリン堂は「グラリスゴールド」と称される健康サプリメントを販売しておりました。問題となったのは店内表示で、太った人物と痩せた人物のイラストと共に「挑戦者続出」「食べるの大好き&運動嫌い」「でも燃えた!!」「脂肪を減らしながら基礎代謝を上げる だからリバウンドしにくい」「脂肪の消費を大幅UP」などと表示されていたとのことです。消費者庁はあたかも摂取するだけで痩身効果があるような表示がされているとして景表法に違反すると判断しました。

景表法による規制

景表法5条1号では、「自己の供給する商品又は役務」について「実際のものよりも著しく優良であると示し」「不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれ」がある表示は不当表示として禁止しております。一般に優良誤認表示と呼ばれるもので違反した場合には措置命令および課徴金納付命令の対象となります(7条、8条)。独禁法と同様に減免措置があり自主申告(リニエンシー制度)により50%減額されます(9条)。また返金措置として消費者に代金を3%上乗せして返還した場合も減免を受けられます(10条)。

優良誤認の要件

消費者庁のガイドラインによりますと、優良誤認の判断は一般消費者を基準になされることになります。商品・役務の品質等が科学的・客観的にみて表示されたものより実際のものが上回っているかではなく、一般消費者にとって実際よりも「優良」であると認識されるかで判断されるとされております。「著しく」とは誇張の程度が社会一般に許容される程度を超えて消費者の選択に影響を与えるかで判断され、表示は特定の文言、図、写真等から受ける印象ではなく、表示内容全体から受ける印象が基準となります。

これまでの処分例

①「14日間の使用で体重マイナス12.8kg以上をお約束」などと表示してサプリメントや化粧品を販売していた通販会社「ブレインハーツ」(大阪市)に措置命令と課徴金2229万円の納付命令が出ております。また同社は「通常価格14900円を限定特価2980円」などと表示し有利誤認にも当たるとされました。
②「きしみが聞こえない」「1日3粒、まずはつらさをやわらげる」「軟骨成分を補充」などと表示し関節サプリなどを販売していた「マイケア」に優良誤認の疑いがあるとして指導がなされております。科学的根拠を示したものの消費者からは関節の痛みが緩和・解消されるかのように受け取れるとして指導を受けました。
③「ダイエットサポートがこの1粒で!短期間で-3kgの秘密とは…?」「寝る前にたった1粒。短期間ではっきりと変化が」「短期間でマイナス3kg!ブラックジンジャーが脂肪そのものを減らす!」などと記載し「LAPURA」と称される食品を販売していた源平製薬(富山)が措置命令を受けております。表示を裏付ける根拠が示されなかったとしています。

コメント

本件でキリン堂が行っていた表示は一般消費者の観点から全体的に見て、飲むだけで運動しなくても体脂肪が減少し痩せていくような印象を受けます。提出された資料からは飲むだけで痩せる効果を裏付ける根拠が認められなかったとのことです。以上のように優良誤認は一般消費者が受ける印象と実際とに乖離がある場合に成立します。消費者庁は優良誤認の疑いがある場合は期間を定めて合理的な根拠を示す資料の提出を求めます(7条2項)。ここで合理的に裏付けができなければ違法と判断されることになります。近年同様のサプリメントなどで多数の行政処分をなされております。健康食品などを販売する際には一般消費者がどのように受け取るかに留意しつつ、それを合理的に裏付けることができるかを確認しておくことが重要と言えるでしょう。

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2008年慶應義塾大学大学院法務研究科修了
2009年弁護士登録
2012年五三(いつみ)・町田法律事務所開設

第二東京弁護士会労働問題検討委員会副委員長、経営法曹会議会員、日本労働法学会会員、経営者側労働法専門弁護士で、日々顧問先等からの様々な人事労務相談対応、労働審判・仮処分・労働訴訟の係争案件対応を行うとともに、複数社のヘルプライン窓口(内部通報窓口)となり相談(通報)があった際の対応・サポート業務を行っている。
このほか、社内研修、行政や経営者団体主催セミナー等の講演にも登壇。

主な著書として、『労務専門弁護士が教える SNS・ITをめぐる雇用管理-Q&Aとポイント・書式例-』(編著,新日本法規出版)、『女性雇用実務の手引(加除式)』(執筆担当,新日本法規出版)、『企業法務のための労働組合法25講』(共著 商事法務)、『就業規則の変更をめぐる判例考察』(編著 三協法規出版)、『労働契約の終了をめぐる判例考察』(編著 三協法規出版)、『裁判例や通達から読み解くマタニティ・ハラスメント』(編著 労働開発研究会)、『労働事件ハンドブック 』(共著,労働開発研究会)など。

主な論考として、「近時の裁判例にみるパワーハラスメントの法的意義」(季刊労働法2017年冬掲載)、「コンパクトに理解する労働法対応アップデート 労務コンプライアンス研修のポイント」(ビジネスロー・ジャーナル2017年4月号掲載)、「判例研究 パートタイム労働法8条違反が不法行為を構成するとされた例-N社(ニヤクコーポレーション)事件(大分地裁平25.12.10)-」(経営法曹183号掲載 2014年)など。
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2002年 第一東京弁護士会 登録替 長島大野常松法律事務所
2004年 外立総合法律事務所
2012年 株式会社カービュー コーポレートリーガルアドバイザー    
2016年 法務室長
2018年 AYM法律事務所開設

弁護士会活動(2018年2月現在)
日本弁護士連合会 ひまわりキャリアサポート 委員
第一東京弁護士会 業務改革委員会 委員 

企業法務を中心とした法律事務所に長年勤務した後、2012年からインターネット系企業の法務責任者としてプラットフォームを利用したメディア・コマースビジネスについてのさまざまな法律問題をサポート。
2018年にAYM法律事務所開設 代表弁護士

主な著書
「アメリカのP&A取引と連邦預金保険公社の保護 債権管理 No.96」金融財政事情研究会
「米国インターネット法 最新の判例と法律に見る論点」ジェトロ 共著
「Q&A 災害をめぐる法律と税務」新日本法規 共著
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1987年 東京大学法学部卒業
1989年 弁護士登録
1995年 ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業
2000年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画
2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。

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■石川 智也(西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士)
2005年東京大学法学部第一類卒業
2006年弁護士登録(第一東京弁護士会)
2015年バージニア大学ロースクール卒業(LL.M.)
2016年Max Planck Institute for Innovation and Competitionにあるミュンヘン知的財産法センター修了(LL.M.)
同年Noerr法律事務所ミュンヘンオフィス勤務
2017年米国ニューヨーク州弁護士登録

日本における知的財産法、営業秘密保護、個人情報保護法のほか、EUにおける知的財産制度・競争法、EUデータ保護規則をはじめとするグローバルベースでのデータ規制について詳しい。

■濱野 敏彦(西村あさひ法律事務所 弁護士)
2002年東京大学工学部卒業 同年弁理士試験合格
2004年東京大学大学院新領域創成科学研究科修了
2007年早稲田大学法科大学院法務研究科修了
2008年弁護士登録(第二東京弁護士会)
2009年弁理士登録
2011-2013年新日鐵住金株式会社知的財産部知的財産法務室出向

知的財産法、営業秘密保護、ITのほか、大学・大学院の3年間、AIの基礎技術であるニューラルネットワークの研究室に所属していたため、AIについても詳しい。

主催・協力
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吉川 達夫
ニューヨーク州弁護士/外資系企業 VP, General Counsel

外資系法務本部長、駒澤大学法科大学院、国士舘大学21世紀アジア学部非常勤講師
元Apple Japan法務本部長、元伊藤忠商事法務部、元Temple Law School日本校客員教授。上智大学法学部、Georgetown Univ. Law Center卒

編著:『ライセンス契約のすべて 実務応用編』(編著、第一法規、2018年)、『ライセンス契約のすべて 基礎編』(編著、第一法規、2018年)、『ダウンロードできる 英文契約書の作成実務』(編著、中央経済社、2018年)など、著作・論文多数

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