「てるみくらぶ」が債権者集会、破産手続きについて

はじめに

今年3月に経営破綻し、現在破産手続き中の旅行会社「てるみくらぶ」(渋谷区)の債権者集会が6日、東京都港区で開かれました。出席した債権者からは怒号が飛び交っていたとのことです。今回は企業が倒産した場合の破産手続きを概観します。

事案の概要

報道などによりますと、「てるみくらぶ」は「さわやかツアー」のブランド名でオンライン予約を活用した格安旅行を展開しておりました。2016年頃からツアーの航空券が発行できなくなったり、支払い済みの旅行代金を重複して請求されるといったトラブルが相次ぎ、観光庁も同社に対し立入検査を行っておりました。その後同年3月に同社は東京地裁に自己破産申立を行ない、同日破産手続開始決定を受けました。負債総額は約151億円に登り、2013年9月期から架空の利益を計上するなどの粉飾決算が行われていたとのことです。6日行われた債権者集会では粉飾決算があったことを認め、IATA(国際航空運送協会)の会員資格を保持するために行っていたとしています。

破産手続とは

個人や法人が支払不能等に陥り、倒産した場合に利用される手続きとして破産手続があります。破産者の財産を換価し債権者に分配する精算型の法的整理手続きです。破産者が会社の場合は破産手続開始によって精算手続に入り、会社は消滅することになります(471条5号)。同様の精算型手続きとして会社法の特別清算があります。これは株式会社のみが利用できる制度で、破産手続よりも柔軟で低コストな手続きとなっております。これらとは別に経営が継続されることを前提とした再建型手続きとして民事再生や会社更生手続なども存在します。事業を終了するか、それとも継続するかという最終的な方針の違いで手続きを選択することになります。

破産手続の流れ

(1)申立て
破産手続きは「申立権者」による申立てによって開始します(破産法30条1項柱書)。ここに言う申立権者とは「債権者」「債務者」、法人の場合は「理事」、株式会社の場合は「取締役」、持分会社の場合は「業務執行社員」となります(18条、19条各号)。会社の場合は取締役会で決定し申し立てることになりますが、取締役個人名義で申し立てることもできます。一般に債務者自身が申し立てる場合を「自己破産」、債権者が申し立てる場合を「債権者破産」と呼ばれます。

(2)破産手続開始決定
裁判所に破産手続開始の申立てがなされ、要件を満たしていれば破産手続開始決定がなされます(30条)。要件としては手続的要件と実体的要件に別れます。手続的要件とは、申立人に申立権が存在することや、申立の方式が適式であること、裁判所の管轄が正しいこと、手数料を納付していることなどが挙げられます。そして実体適要件は破産手続開始原因が存在することと、障害事由が存在しないことです。破産手続開始原因とは、債務者が経済的に破たんしている状態にあることを言います。具体的には「支払不能」と「債務超過」の状態のことです。支払不能は「一般的かつ継続的に弁済することができない状態」(2条11項)で重要な財産の処分等をしなくては支払えない場合を言います。債務超過は「債務者が、その債務につき、その財産をもって完済することができない状態」を言います。帳簿上黒字であっても、不良債権を抱えているなど事実上支払いができない場合も該当するといわれております。そして手続費用の予納が無い場合や他の再生手続等がすでに先行している場合、不当な目的である場合は障害事由として決定がなされないことになります。

(3)破産管財人と債権者集会
破産手続開始決定がなされた場合、同時に破産管財人が選任され、破産債権の届出期間と債権者集会の開催日、破産債権の調査期間が決められます(31条1項)。破産管財人とは破産者の代理として財産等の管理処分権を有し、訴訟では自ら当事者となり(2条12項)、破産手続きを遂行していく者を言います。債権者集会とは破産手続開始決定がなされ、約3ヶ月後くらいに開催される集会で、破産に至った経緯や財産状況の報告、破産手続き終了の際の債権者の意見聴取などが行われます。

(4)同時破産廃止
破産手続きは、破産管財人が破産者の財産状況を調査して、財産を換価し、債権者に弁済や配当を行っていく手続です。しかし破産の時点で債務者に換価するような財産が存在しないことが明らかな場合は管財人の選任がされず、同時に手続が廃止(終了)となります。このような場合を同時破産廃止と言います。個人の場合は以後免責許可決定の手続に進むことになりますが、法人の場合は、債務者である法人自体が消滅することから手続終了後当然に債権は消滅します。

コメント

本件で、てるみくらぶが現在保有している資産は約1億8800万円とされております。負債総額は151億円に登り、代金を支払ったまま旅行に行けなかった客などが債権者として債権者集会に出席しました。集会で同社の山田千賀子社長(67)は「客をだましたり、詐欺を行うつもりはなかった」と釈明しましたが、財産状況からも債権者への返金は難しく、債権者からは「詐欺だ」などと怒号が飛び交ったとのことです。今後残った財産を換価し、配当がなされていくことになります。債権者が銀行などの金融機関だけの場合は、倒産手続きにも慣れていることから、破産手続きが開始しても大きな混乱は起きず、また債権者集会にもほとんどの債権者は出席せずに10分程度で終わると言われております。しかし本件のように金融機関だけでなく、取引先や顧客などが債権者として多数存在している場合は破産の通知がなされた時点で取付騒ぎが起きるなどの大混乱が生じ、債権者集会でも怒号が飛び交うことになります。経営の破たんが避けられない場合には、無理に事業を引き伸ばし、一般債権者が増加しないよう注意を払うことが重要と言えるでしょう。

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[著者情報] mhayashi

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