フィリピン、外資系投資銀行規制の撤廃へ

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事案の概要

フィリピンのアキノ大統領は、外国銀行の国内市場参入制限を撤廃する法案に署名し、新法が正式に成立した。ASEAN(東南アジア諸国連合)は、2015年末にASEAN経済共同体(AEC)の発足を予定しており、今回の規制撤廃はAEC発足に向けての動きだ。

新法では、外資系投資銀行による100%出資の現地法人の設立や、フル・バンキング(預金や為替等の業務に制約のない銀行業務)のライセンスを持った支店の設立が可能となるほか、既存銀行の全株を取得する形で参入することもできるようになる。

フィリピンでは現行法上、外資系金融機関は、
①フル・バンキング免許取得による支店開設
②新たに設立される銀行の60%(上限)の株式取得
③既存銀行の60%(上限)の株式取得
のいずれかによってフィリピンへの参入が可能である。

しかし、「新規に参入する外資系金融機関数を10行とする」との運用規定により、10行に到達した1999年以降は、法的には自由なものの、上記運用規定により実際には新規参入が不可能という状況が続いてきている。
なお、10行の中にはみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の邦銀2行が含まれている。

今回の規制緩和では、外資系投資銀行数の制限と、現法設立時や既存銀行買収時の出資規制がなくなったことが大きい。現在日本の三大メガバンクでは三井住友銀行のみが支店及び現地法人を置いておらず、同行の市場参入の可能性も指摘されている。

コメント

新法による外資規制の撤廃により、地場中小銀行の経営が危うくなるとの懸念もある。フィリピンの銀行は比較的規模が小さく、合併・買収(M&A)が進む可能性があると指摘されている。一方、外資の新規参入により、金融商品の質やサービスが向上するなどして、業界や顧客への恩恵も見込まれるというメリットも指摘されている。また、今回の規制撤廃は、さらなる日系バンクの市場参入を促進するのみならず、AEC発足の目的である「投資の自由化」を促進し、ASEAN経済全体の活性化につながることが期待される。

企業法務ナビよりお知らせ
本記事は、約5年25日前に投稿された記事です。法律を内容とする記事の特性上、その改正や他の特別法の施行、経過措置期間の経過、関連判例の出現などによって内容が古くなり、現在は誤りとなる可能性がありますので、ご注意下さい。
 
[著者情報] KC

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元ITエンジニア・ライター。

東証一部上場企業からシードステージのベンチャーまで、約60社の顧問弁護士等、イースター株式会社の代表取締役、株式会社KPIソリューションズの監査役、株式会社BearTailの最高法務責任者などを務める。JAPAN MENSA会員
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編著:『ライセンス契約のすべて 実務応用編』(編著、第一法規、2018年)、『ライセンス契約のすべて 基礎編』(編著、第一法規、2018年)、『ダウンロードできる 英文契約書の作成実務』(編著、中央経済社、2018年)など、著作・論文多数

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■上田潤一
アンダーソン・毛利・友常法律事務所/パートナー弁護士

01年東京大学法学部卒業
04年弁護士登録
12年米国Vanderbilt University卒業(LL.M.)
13年ニューヨーク州弁護士登録、英国University College London卒業(LL.M.)
労働法、社会保険・労働保険・年金に関連する法律、会社法、個人情報保護法等の法分野に関する業務を中心に、労働案件、一般企業法務の案件、紛争案件等を取り扱っている。
著作に『仕事でよく使う・すぐに応用できるビジネス契約書作成ガイド』(共著)(清文社、2017)、『実務Q&Aシリーズ 懲戒処分・解雇』(共著)(労務行政、2017)等がある。

■荻野聡之
アンダーソン・毛利・友常法律事務所/アソシエイト弁護士

03年東京大学法学部卒業
06年東京大学法科大学院卒業(法務博士(専門職))
08年弁護士登録
労働法、危機管理、事業再生等の法分野に関する業務を中心に取り扱っている。
著作に『企業のための労働実務ガイド1 Q&Aと書式 解雇・退職』(共著)(商事法務、2013)、『労使双方の視点で考える 27のケースから学ぶ労働事件解決の実務』(共著)(日本法令、2015)、『M&Aにおける労働法務DDのポイント』(共著)(商事法務、2017年)等がある。

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淵邊 善彦
ベンチャーラボ法律事務所 代表弁護士

1987年 東京大学法学部卒業
1989年 弁護士登録
1995年 ロンドン大学UCL(LL.M.)卒業
2000年よりTMI総合法律事務所にパートナーとして参画
2008年より中央大学ビジネススクール客員講師(13年より同客員教授)
2016年より2018年まで東京大学大学院法学政治学研究科教授
2019年ベンチャーラボ法律事務所開設

主にベンチャー・スタートアップ支援、M&A、国際取引、一般企業法務を取り扱う。

主著として、『業務委託契約書作成のポイント』(共著)、『契約書の見方・つくり方(第2版)』、『ビジネス法律力トレーニング』、『ビジネス常識としての法律(第2版)』(共著)、『シチュエーション別 提携契約の実務(第3版)』(共著)、『会社役員のための法務ハンドブック(第2版)』(共著)などがある。

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