グローバル特許審査ハイウェイが開始~特許審査ハイウェイとは~
2014/03/06 知財・ライセンス, 特許法, その他
特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway:PPH)の種類を12カ国・地域との間で共通化するグローバル特許審査ハイウェイ が2014年1月より開始された。
これまでは、国によって利用できるPPHの種類に差異があるため、国によりどのPPHを利用すべきか、出願人にとっては複雑な手続が要求されていた。 このプログラムにより、日本を含む13の国・地域間で利用できる PPH の種類が共通化され、国によりどの PPH が利用可能なのか考慮する必要がなくなった。
これを機に以下では、PPHの概要を確認する。
特許審査ハイウェイとは
【意義】
特許審査ハイウェイ(Patent Prosecution Highway:PPH)は日本が2006 年に提唱した、簡易な手続きにより特許の早期審査を実現する制度。出願人の海外での早期権利化を容易にすると共に、各特許庁にとっては第1庁(先行庁)の先行技術調査と審査結果の利用性を向上し、審査の負担を軽減し質の向上を図ることを目的としている。
近時各国間で重複して特許が出願されるケースが増えており、それに伴う各国の特許庁の審査負担の増大、権利化の遅延という事態に対応するために導入された。
2006年7月に日米間で試行され、現在では30か国・地域に拡大している。
【PPH申請の基本的要件】
PPHの申請については一般的に次の要件が必要とされる。
①第1庁出願が特許可能と判断された請求項(保護を受けたい発明を記載した項 )を有する
②第2庁出願の全ての請求項が、第1庁出願の特許可能と判断された請求項と十分に対応している
③第2庁出願が、第1庁出願に対してパリ条約上の優先権を主張しているなど第1庁出願と特定の関係にある
【PPHの種類】
「PCT-PPH 」
国際特許出願(PCT:Patent Cooperation Treaty )を利用したPPHプログラム。PCT出願は特許を1回の手続で多数国に出願することができる。
PCT-PPH は特定の国際調査機関が作成した見解書(WO/ISA)や特定の国際予備審査機関が作成した見解書(WO/IPEA)または国際予備審査報告(IPER)を利用することで、早期審査の申請が可能となる。
「PPH MOTTAINAI」
2011年7月より導入された。それまでは、出願人が最先に特許出願をした第1庁の審査結果に基づいてのみ可能であったPPH申請を第1庁の審査結果に限ることなく、参加庁による特許可能との審査結果を利用しての申請を可能とするPPHプログラム。
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