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①法的な視点の必要性について

執筆者: ECサイト運営企業法務部員
投稿日時: 2009-05-26 11:46:04

前回、ECサイト運営に潜む法的なリスク10項目を挙げさせていただきました。

今回は、①「法的な視点の必要性について」です。

EC=小売り

「EC」とは、前回申し上げたように、「インターネットを介して商品を購入できるサイト」のことを指します。

言ってしまえば、「EC」は、インターネットやその他通信手段を介した「小売り」に過ぎません。

いかに「EC」が新しい手法だとしても、その本質は、大昔からある「小売り」です。

「小売り」は、経済の根本的な事象であり、すべての人に関わる事柄です。

完全に自給自足をしている人を除き、ほとんどすべての人が「小売り」に関わっています。その点で、「小売り」は、国家・社会経済、ひいては一人一人の生活を支えているといえます。

「小売り」がとても重要なものであり、とても多くの人が関わる以上、そこに法規制が入ることはやむを得ません。道路に交通ルールが必要なように、小売りにもそれを統制するルールがどうしても必要なのです。


小売りを統制するルール=民法+α

小売りを統制するルールとしてもっとも有名なのは「民法」です。

しかし、民法は、なお「小売り」に関わる根本的な部分は大昔のままとなっています。これでは、新しい小売りの形態である「EC」にそのまま対応することは難しい部分があります。

解決策として「民法」を根本から改正すればよいのですが、「民法」の抜本的改正には時間がかかります。そこで、一種の対処療法として、国会・政府は、「民法」とは別の法律によって「民法」を補完し、新しい事柄に対処しています。

そのため、「EC」に関わる種々の法律が生まれています。ECに携わる場合には、これら法律を把握しておかなければなりません。


ECを担うものが認識しておくべき「法的な視点の必要性」

「そのような色々あったり、変わったりする法律に対応する必要があるのか…」とうんざりする経営者の方も多いと思います。

しかし、そんなに不安がる必要はありません。すでに運営されている方はおわかりかとも思いますが、「小売り」の歴史の深さや、ECに携わる人々の良心により、常識的な運営をしてさえいれば、お客様と法的な問題が生じることは、現状ほとんどありません。ましてや、いきなり検察庁が押しかけてきて、逮捕などということは起きません。

これは、ECは成長途中であるため、EC自体を規制する法律は、今のところほとんど出来ていないからです。しかし、逆に言えば、そのような規制法がこれから先に生まれるおそれもあるということを認識しなければなりません。

その流れの一つとして、最近話題の改正薬事法問題(EC・通信販売での指定薬販売禁止)が挙げられます。また、次回記述予定の「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」もある種規制といえます。

これらは一種の「規制」ですので、守らなければ罰を受ける場合があります。

当たり前の話ですが、「罰」を受けないようにするためには、その内容を知らなければなりません。

また、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」については、内容を把握するだけでなく、その内容に対応したメール送信システムやお客様情報の管理方法への変更も必要になる場合があります。

ECという特性上、システムを用いて運営を行います。当然、上記のような法規制に対応するため、システムの変更や改良が必要になる場合があるのです。

システムは、ECの基盤であり根本ですから、この部分が法律に対応出来ないというのは大きな問題です。

しかし、システムの改修には時間がかかる場合や費用が発生する場合もあります。その際に、適切な改修部分を挙げられるか、より少ないコストで改修できるか、という部分でどうしても法的な視点・知識が必要になります。

このようなことを考えていくと、「法的な視点が必要になる理由」と、これから先もそのような視点がますます必要になるという事が一つおわかりいただけると思います。


法的な視点は、ECの未来にもつながる

「これから先に規制法が生まれていく可能性がある」ということについては、嫌な思いを抱かれる方も少なくないと思います。

しかし、これはある種チャンスであるととらえていただきたいと私は個人的に思っています。

上述したように、ECは成長途上であり、ECを取り巻く事象そのものが法律やルールの作成に関わっていきます。そして、そのECを取り巻く事象そのものを作り出していくのは、ほかの誰でもないわれわれEC事業者です。

そして、EC業界全体が健全に発展していき、お客様や社会とも良好な関係を作り出していけるならば、自然にその規制は緩くなる、そのようなこともあり得るのです。

また、われわれはECに携わる当事者として、より積極的に適切なルールの作出に関わっていける可能性があります。ECモール事業大手「楽天」の三木谷社長が改正薬事法について公式に発言するメンバーに加えられているように、われわれもルールの作出に関わっていける可能性があるのです。

ECは、小売りの未来を担う形態であると考えられます。そして小売りが国の経済の根本である以上、われわれが携わるECという事業とそれに関わるルールの作出に関わるということは、とても大切なことだと考えています。

そのような視点からも、特にこれからECに人生を投資しようという経営者の方には「法的な視点の必要性」をよく理解していただきたいと思っています。それが自らの事業自体だけでなく、EC事業全体ひいては国自体にとっても、とても重要なことなのです。


次回

今回は、やや概念的・理念的なお話でした。次回は、最近の法改正の動きを具体的に見ていくことにします。