カルテル結んで、喋ったモン勝ち!? EUが韓国LGに230億円超の課徴金支払い命令!
2010/12/10   独禁法対応, 独占禁止法, メーカー

概要

液晶パネル業界世界2位のLGディスプレーが台湾の奇美電子などLCDパネル6社とともに、01年10月から06年2月までの4年4カ月にわたって価格カルテルを行い、また営業情報を共有することにより、消費者に被害を及ぼしたとして、EUから2億1500万ユーロ、日本円にして約238億7400万円という巨額の課徴金の支払いを命じられた。
なお、台湾奇美電子は、LGを更に上回る3億ユーロの課徴金支払いを命じられている。

業界1位のサムスンは支払いゼロ!?

しかし、本件カルテルに参加していたにもかかわらず、LG同様韓国に基盤を有する業界世界1位のサムスン電子は課徴金を一切支払うことなく終わっている。その理由は、日本でも既に導入されている、「課徴金減免制度」にある。
サムスン電子は、アメリカ法務省が今回同様に液晶パネルに関するカルテルを理由として課徴金を課した際にも、この制度を利用して巨額の課徴金を免れている。

課徴金減免制度
課徴金減免制度は、各国でその仕組みに多少の差異はあるが、その意図するところは、基本的に変わらない。


1・カルテルは秘密裏に行われるもので、発見され世間に露見する可能性が低く、当事者からの申告なしでは立証することが困難であること
2・各企業がコンプライアンス体制をきちんと整備し、カルテルを発見し、申告し得る状況があったとしても、単に申告するだけでは課徴金の対象となり、経済的損害を被るだけで終わってしまうので、企業側に申告するメリットが全くないこと

これらの理由から、各国で課徴金減免制度が設けられ、企業側からの申告が行われやすくなるよう、環境作りを行っており、この制度を通した、カルテル案件の摘発の強化に各国が乗り出している。

採るべき対策は?

国内外を問わず、カルテル事件に対する摘発が強化され、企業体質の改善が求められる中で、そもそもカルテルをはじめとする経済談合そのものが社会的に許容されない時代となってきている。とはいえ、過去から継続的に続いて来たそうしたものを抱えている企業も決して少なくないものと推測される。
現在の国内法制では、調査開始日前後を含めて最大5社までが減免を受けられる形となっているが、やはり発見次第、一刻も早く申告することが、経済的損失を回避するためにも最善の策と考えられる。
メーカーなどの場合、一部門でのそうした行為が、他部門での同業他社との関係にに影響を及ぼす場合もあろう。しかし、こうした申告を「密告」と考える企業体質自体の改善が求められているのである。

<参照リンク>
公正取引委員会 課徴金減免制度

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